研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 013/036page

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断熱箱を使うと表のような結果で,78cal/gから80cal/gの間に測定値がくる。断熱箱でなく,サーモカップ2個かさねて使うと,断熱効果もよく,断熱箱を使用したときとほぼ同じ結果が得られた。
サーモカップ2個かさねて使うときは,水量を外のカップの上端以上にいれないようにする。
 氷
冷蔵庫からとりだした直後の氷は,0℃以下であるので,表面がとけだしたころをみはからって使用する。氷は表面で融解が始まるとただちに全体が0℃まで上昇する。−IPS指導書−といわれている。従って使用する氷は0℃とみなしてよいだろう。
表面がとけている状態の氷を使うときは,ろ紙などで水をよくぬぐいとったものを使わないと,測定値は小さく,ばらつきが大きくなる。
測定の結果の例を表に示した。

水の重さ(g)
氷の重さ(g)
初めの温度(℃)
終りの温度(℃)
温度差(℃)
融解熱(cal/g)
80.0
80.0
80.0
80.0
80.0
15.1
10.4
7.8
12.4
12.4
28.1
28.4
29.2
28.2
29.0
13.4
17.8
21.3
14.4
15.9
14.7
10.6
7.9
13.8
13.1
64.5
63.8
60  
74.3
68.8

※ とけつつある氷をふって水をとりさった。
※ 室温20℃,サーモカップおよび断熱箱使用。

2.P−ジクロルベンゼン(パラゾール)の凝 固熱の測定

ナフタリンの融点が80℃であるため,凝固終点時のの操作による測定値の誤差が大きくなるので,融点の低いP−ジクロルベンゼンを使用する。

(1) 方法

ビーカーに70〜80℃の湯をつくり,これにP-ジクロルベンゼン59はいっている試験管をひたし,P−ジクロルベンゼンを融解する。
氷の融解熱に使った熱量計を使い,サーモカップに室温よりやや低目の水−実験では,水道からとり出した水をすぐ使用−をとり,水の重さを測り求める。

ふたをして水温を測る。
P−ジクロンベンゼンの溶融した試験管を湯からとり出し,温度計でかきまぜながら空気中で冷やす。
結晶ができはじまったら,すばやく試験管をサーモカップ中にさしこみ,温度計でP−ジクロルベンゼンを,また水もかきまぜながら,完全に凝固するまで行う。全部凝固した時点での水の最高温度を読みとる。
水の得た熱量がP−ジクロルベンゼンが凝固するのに放出した熱量である。これから凝固熱を求める。

図−2 P−ジクロルベンゼンの凝固熱の測定
図−2 P−ジクロルベンゼンの凝固熱の測定

(2) 測定結果の例

上皿天びんを使うことにしたので,水は80〜90gにとどめた。それで,試験管にいれるP−ジクロルベンゼンの量は5〜6gが適当で,あまり多いと水面より試料がでてしまう。

水の重さ(g)
試料の重さ(g)
初めの温度(℃)
終りの温度(℃)
温度差(℃)
凝固熱(cal/g)
90.0
80.0
90.0
80.0
90.0
5.0
5.0
5.0
7.0
3.0
23.4
24.0
17.3
16.1
18.3
25.5
26.4
19.4
19.3
19.5
2.1
2.4
2.1
3.2
1.2
38
38
38
37
36

※室温21℃-20〜50 1/10°目盛温度計使用 
文献値 m.p.53.13℃
     Hf 29.38ca1/g


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