研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 014/036page

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(3) 実験上の留意点

 操作について
測定誤差は,実験操作による要因が大きい。
試料を空気中で冷却し,試料が結晶しはじめたらすばやく熱量計にいれること,および,試料が完全に凝固した時の判断,その時の最高温度の測定の操作が重要である。

この誤差を小さくするため,あらかじめ空気中で試料の凝固点(融点)を調べ,試料を温度計(1/1℃目盛りのもので良い)でかきまぜながら空気中で冷却し,温度計が凝固点を示す直前にサーモカップルに入れるようにすれば,試験管中で凝固しはじめるとき入れるより容易である。

また,凝固の完了は,かきまぜていればわからないこともないが,やはり凝固点を目安として,一定温度を保っていたのが降下し始めた時点を終了とすれば感覚でとらえるより容易であり,ばらつきの少ない測定値が得られる。
この実験では,51°で水に入れ,50℃の時の水温を最終温度にして測定値を得た。

 試料をいれる試験管について
使用した試験管は15×150oのふつうのものであるが,熱容量から考えると,もっとうすいガラス管をカップの高さに合わせて切り,一端を封じたものを使うほうが良いだろう。

3.水・アルコ-ルなどの気化熱の測定

(1) 方法

100c.c.丸底フラスコに加熱用電熱線(300W用のもの5〜15Ω)と温度計(1/1℃目盛)をとりつけたゴム栓をし重さを測る。これに水をフラスコの半ばくらいまでいれる。(電熱線は水の中に完全に浸っていなければならない。)このフラスコの重さを測り,フラスコ中の水の重さを求める。

フラスコを発泡ポリスチレンで作った箱にいれ図2のように,あらかじめ重さを測った試験管で発生した蒸気を液化するよう装置をくみたてる。
電流を流し,30秒毎(ふっとう近くまでは1分間かくでもよい。)に温度を測り,グラフに記録する。沸点に達した後(一定温度を示す)5分後にスイッチを切る。
試験管の外側の水をふきとり,重さを測り,試験管中の水の重さを求める。
グラフから1分間に加えた平均熱量を求め,気化熱を求める。

同様な方法でエタノール,メタノール,イソプロピルァルコールも測定する。このときは,沸点に達した後2分後に終了するようにする。(水と比較して短時間にかなりの量が試験管に凝縮する。)

図3 蒸気発生器
図3 蒸気発生器

図4 気化熱測定実験装置

図4 気化熱測定実験装置

(2) 測定結果の例

 水の測定結果
グラフの直線部分から,一定時間における上昇温度を読みとると,図5の場合では,8分間に,63°上昇している。水の重さが97.5gであるから単位時間あたりの加熱量は,
1cal/g.deg×97.5g×63deg/8min=770cal/min
である。このとき試験管に凝縮した水の重さは,5分間で7.5gであった。
気化熱は,
770ca1/min×5min/7.5g=510cal/g
となる。
次に測定結果の例をあげておく。


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