研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 017/036page

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中学校・高校教材
 

透明半球によるデータをもとにした空間概念の指導

渡  辺   専  一

 

 

T はじめに

中学校における天体の指導のねらいは,地球を取り巻く宇宙についての理解にある。即ち,月・太陽のような身近な天体を選び,これらを地球と対比させることによって惑星問空問の広がりについて認識を深めることにある。

また高等学校においてもほぼ同様で地球を中心に宇宙の事物・現象の中に問題を見いだし科学的な探究の方法により,空問的な概念を獲得することに意義があるとされている。
両者で共通して言えることは空間概念の指導であり,それが地球を中心として学習を進め,宇宙に目を向けさせるにあると考えられる。もちろんその学習内容の深め方において両者はある程度区別されるものである。

ここでは,中学・高校で共通して取扱う透明半球と高校でのノーモンなどによって得られたデータをもとにして,さらに各天体の相互関係を把握するための方法について検討してみようとするものである。

 

U 透明半球・ノーモンによる

データの収集について
すべての自然科学の学習において共通して言えることは正確なデータの収集にある。もちろん,生徒の発達段階,および使用器具等により誤差を含むのは当然のことではあるが,要するに思考(推論,仮説,検証)を深めるにたるデータが要求される。
(透明半球,およびノーモンの使用方法については省略する。)

 

V データ収集後の指導

ここでは特に次の内容についてのべる。
1.地球モデルをもちいた地軸の傾き。
2.ノーモンによるデータ(日影曲線)をもとにしたモデル。
3.透明半球によるデータ(太陽・月運動の軌跡)をもとにしたモデル
4.発泡スチロール球をもちいた太陽・地球・月の運動。

図−1 地球モデルによる日影曲(右)と小型透明半球(左)
図−1 地球モデルによる日影曲(右)と小型透明半球(左)

図−2 地球モデルの製作図(透明半球の表面には蛍光塗料を塗る)

図−2 地球モデルの製作図(透明半球の表面には蛍光塗料を塗る)
(注)図中の数字はミリメートル

空間的な広がりを理解するためには,具体的な事物(モデル)をもとにして考えていくことが極めて効果的である。
さらにモデルはその事象を理解するために不必要な要素を含まない事が要求される。不必要な要素が多いことによって思考をまどわすような事態が生ずれば,モデルの効果はまったく失なわれるものである。
図−2は透明半球(径210o)2個を組みあわ


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