研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 018/036page

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せ,中心に鉄棒を通して地軸とした地球モデルである。表面は光の反射能率をよくするために蛍光塗料を塗り,地球上の各地域を代表する地点(図−2・a北極,b北半球中緯度,c赤道,d南半球中緯度)にそれぞれ径3oのボルトナットでとめ,これに厚さ1oの塩化ビニール板を固定できるようにした。

また,このビニール板上にほぼ同じ大きさの画用紙(円形)をあげ,径3oのボルトの先端がほぼ2.5pほど,頭を出すようにし,これを日影曲線用の棒とする。
次に,この画用紙上に小型透明半球(径130o)をのせ,これを画用紙・および塩化ビニール板にセロハンテープで止め,太陽・円運動観察のモデルとした。

1.地球モデルをもちいた地軸の傾き

中学校において季節の移り変わりは,太陽に対する地球の運動と地軸の傾きによって生じることもあるが,これを理解するための手がかりとして,まず透明半球によって太陽の日周運動の様子を季節別(春分・秋分・夏至・冬至付近)に観測し,そのデータを見ることによって簡単に「太陽の日周運動の経路は季節によって異なり,太陽の出入りの時刻と南中高度に違いを生じること」が理解できる。
地軸の傾きを考えるために上の観測事実の中から太陽の出入りの時刻についてとりあげて考察してみたい。

図−3 地軸の傾きと日照時間との関係(地球モデルによる)
図−3 地軸の傾きと日照時間との関係

太陽の出入りの時刻のデータは透明半球によってはかならずしも正確ではないが,各季の日照時間の概略の値を得て比較することは充分可能である。
このようにして各季の日照時間の概数を得て,これをもとに図−3のような方法で地軸の傾きを推論させるのが効果的である。

このことについて具体的にのべると,製作した地球モデル(図−1・2・3)をスタンドに固定し,これに図−3のようにビニールテープ(白色が見易い)をはりつける。この場合日照時間を測定した緯度(学校であればその緯度)のところにはり,そのテープ上に一周24時として日照時間(日の出,日の入りの時刻)を記入しておく。次に電球を使用して太陽光とする(約2m位離し,高さは地球モデルの赤道の位置ぐらいにする)。そこで光をあてることによって各季の日照時間が満足するように地軸を動かしてみる。

実験者は太陽(この場合電球)を横にみて,地球モデル上で光があたっている部分と日かげの部分の境界が日の出・あるいは日の入りの線(テープにあらかじめプロットしてある)と一致するよう地軸を調整する(図−3)。
生徒が地軸を操作する中で図−3のa,b,cdの場合が極端な例として予想できる。しかし,次の段階で矛盾を生ずるものもでてくるので順にのべてみたい。

図−3・aの場合,1日中太陽光があたる状態なので観測結果と矛盾する。

bの場合,太陽光に地軸が直角におかれた場合は,昼夜の長さが同じになるので春分・秋分の頃と同じになるのでよい。(ただし,c,dを考えると一部に矛盾を生ずる)。

cの場合,太陽が出没する。日照時間が長い。 夏至の頃の観測結果と一致することがわかる。

dの場合,太陽は出没するが日照時間が一番短い。

上の操作をくり返すことによって地軸は太陽光線方向に対して傾いていなければならないことが推論できるはずである。
しかし,bの場合は傾いていなくても春分・秋分のころの日照時間とほぼ一致するのは地軸が季節の違いによって北極側がコマの運動のように振れながら公転しているのではないかという仮説も成りたつ。いいかえると夏至の頃には北極側が太


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