研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 033/036page
(2) 測定装置
光電比色計(島津スペクトロニック20)比色セル(内径10.6o)
(3) 方法
25mlのメスシリンダーを2本用意する。1本のメスシリンダーに,KMnO4水溶液の必要量をとり,水を加えて全体積を25mlとする。もう1本のメスシリンダーに,0.1Mぎ酸4ml,K2HPO4溶液1ml(または,KH2PO4溶液1ml)をとり,水を加えて25mlとする。2本のメスシリンダーの液を100mlのビーカーで混合して反応させる。一定時間ごとに混合溶液を光電比色計のセルに移しとり,吸光度を測定する。波長は,の極大吸収波長53mμを用いる。
4.測定結果
(1) K2HPO4溶液を添加した場合
pH値は6.9を保ち,の赤紫色は約5分で消失する。それ以後は透明なうすいかっ色液となる。30秒ごとに測定した吸光度を図2に示す。
(注)0分の値はぎ酸を加えないで測定する。
図2 pH7で反応させたときの測定例
の検量線はべールの法則を満足するので,の濃度に換算することを省略し,log〔〕、のかわりにlogAsをプロットすると,図3が得られる。
図3では,反応が始まってから5分後までの値は,平行な直線上に並ぶ。すなわち,この間は,の消失速度がの濃度に比例する(一次反応)ことを示す。(注)次頁(5-3)式参照
この反応を一次反応とみなして,直線のこうばいから速度定数を求めると表2のようになる。
図3 pH7で反応させたときの変化
表2 速度定数(pH6.9,20℃)
(2) KH2PO4を添加した場合
pH3.3の状態で反応が進む。溶液の色の変化は(1)の場合と同様であるが,反応の速さは以下となる。吸光度の変化,吸光度の対数値をプロットすると,図4,図5になる。
図4 pH3.3で反応させたときの測定例