研究紀要第8号 教授組織に関する研究 実践編 - 001/029page

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1.研究の概念

 現代社会が学校に求めていることは,知識の基礎によって個性を伸長することができ,かつ,社会的な自己調整による全人的行為のできる,その根底をつくるにあるといえよう。このような要請に応ずるには,「ねらい」に即して教育内容を具体的にとらえ,学校組織の機能化により,教育方法・技術の刷新が考えられる。

 学校組織を教援・学習組織,事務組織,運営組織とし,その機能化として,各系列の相互間の統制をはかるとともに,必然的にそうせざるを得ないように内的秩序が整えられ,「わく組み」することである。その作用は,協力体制としての役割・分担活動になるだろう。その推進母体としては,学年(学年団),あるいは研究部会が考えられよう。

 県下の過疎・過密現象による,特に小規模少人数学級校においては,役割の分担や遂行の過程などで多くの制約を受けざるを得ない。こうした現状からして,組織体としての教育活動の原点にかえり,「目的のもと,成員相互のコミュニケーションを有し,共同の責任と相互の役割をもつ統一体」としての機能を再検討するとともに,学校教育が集団形態で行なわれるが,個人として成立させなければならないという理念から教育活動の再吟味が必要であろう。

 次にその具体的項目をあげることにする。

(1) 学年(学年団)組織体制の強化により,学校経営の機能発揮をはかる。

 従来も学校教育は,学校・学年・学級と組織立てられているが,機能的には経営方針,施策・業務などが学級に直結し,学年(学年団)の立場は,範囲外におかれたようである。この学年(学年団)の立場を再検討し,指導・業務管理の推進母体とし,協力組織体制を強化する。

(2) 弾力的な学級集団の再編成により,個別化・集団化をはかる。

 児童・生徒の発達段階・経験に応じ,教材内容に即して,組織的に既成学級を弾力的に取り扱い,大集団・小集団に再編成し,ひとりひとりの児童・生徒の学習成立をより確実にする。

(3) 協力体制での分業・協業により,本質的な授業を展開する。

 教師の協力による計画の作成,授業における役割・分担としての分業・協業により集大成の教育を期待する。


2.研究の視点

 学年(学年団)経営を推進母体とし,学習指導・生徒指導はもちろんのこと,校務も学年(学年団)を単位として分担する協力組織体制において,次のような具体事項について究明しようとする。

(1) 単元指導計画の共同作成

 実際の授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計画とし,単位学年,あるいは近接学年による学年団で共同作成する。そのため学年(学年団)の組織を分業・協業が可能であるよう配慮するとともに,その作成が勤務時間内に位置づけられるようにする。

(2) 教材,発達段階・経験に応じた単位集団の再編成

 教材の性質,あるいは教科内容に応じ,児童・生徒の発達段階・経験によって,既成の学習集団を合わせて大集団にしたり,グループに分けて小集団にしたりすることである。そのためには,単位学年の教師が協力して,生徒指導が行なわれる体制にする。

(3) 教師の特性を生かしたティーム・ワーク

 教師の特性を生かし,授業過程における段階的な確かめや,教育機器の導入を可能にするため,主となる教師,援助する教師といった役割で主体的に分担し,協力し合って本質的な授業を展開する。この役割は固定したものでなく,教材の内容によっても交替するなど,弾力性をもたせ機能発揮をはかる。


3.研究のねらい

 学校環境の諸条件により,研究のねらいを次のように区分する。

(1) 協力教授組織による教授過程とその役割・分担活動


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