研究紀要第9号 児童・生徒の社会認識に関する研究 男女交際・性意識についての考察 - 019/020page
6.高校生の純潔に対する考え方はどうであろうか。
〔調査〕
問 題 性 別 別 だ 同 じ だ肉体関係を伴なう恋愛と結婚を別と考えてよいですか 男 35% 65% 女 40% 60%純潔ということばに対しては,貞操観とともに何か古さを感ずるという。かえって性教育といった方が,すっきりしていると面接では答えている。純潔教育は「男女間の精神的,肉体的関係を正しくするための教育,指導対策をいう」と答えたのは,男25%,女25%であり,「男女の道徳の確立と社会の純化」をめざすものと語ったのは,男30%,女45%で,高校生の過半数は正しい理解を示している。いわゆる封建的貞操観や宗教的禁欲主義などの先入観にとらわれていたのは,男30%,女40%で,科学的合理性を要求されていた。
「肉体関係を伴なう恋愛と結婚を別けて考えてよいか」については,別だと答えたのは,男35%,女40%で,女子の方がやや積極的である。「恋愛は結婚を前提とすべきだ」と答えたのは,男65%,女60%で,相手を尊重し理解すること(相手を束縛しない)が将来の家庭生活を幸福にする大前提であるといい,男がやや積極的である。性を美しく育て,大切に守って,お互いに結婚まで純潔でありたいと思いながらも,真の愛情があれば関係をもってもよいと複雑な心境を語っている。
〔調査3〕 結婚前の純潔についてどう思いますか。
性成熟度の区分(46年度紀要変声と初潮の年齢,4ページ参照)
早 熟 晩 熟 男 子12歳までにあった 11歳までにあった 女 子14歳以後かまだの者 13歳以後かまだの者
(単位=%)
守るべきだ 守る必要はない どう考えたらよいか男 早熟群 25.2 69.2 5.6 晩熟群 50.0 46.0 4.0女 早熟群 60.5 34.5 5.0 晩熟群58.0
24.0 18.0純潔感と性成熟度との相関は,上記のごとくでたが,男子の場合は,早熟群に純潔を否定する考えが育っているが,晩熟群は,純潔を肯定するものがより多くみられる。
ただし女子の場合は,男子ほど差がみられないが,早熟の子ほど純潔を肯定するものが少しずつふえている傾向にある。
意識と行動のズレはあったとしても,フリーセックスを肯定する考え方が漸次増えつつある現実を見逃すことはできないであろう。