研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 009/022page
(3) 学業不振児(2)
@ 在籍状況
氏名 性 所属 I・O 女 G小6年A 現症の概要
ア,学習意欲がなく,動作がおそい。
イ,学業面がふるわず困っている。
(成績が悪い)B 現症の起始・経過
ア,小学校1年から,斜視(右)になる。
(眼科医に原因をきいたが解らない)
イ,ふろに入ると腰がたてなくなったりした。
(2才のころ,かぜで小児マヒのように動かなかったことがあったがS医院で治癒する。)
ウ,学習意欲がなく,成績が悪い。C 診断,指導の方針
ア,知能・性格検査を実施する。
イ,親子関係などの改善充実をすすめる。
ウ,本人にあった学習のしかたを考える。D 指導の経過
ア,田中ビネー知能検査(IQ74)
● 消極的,洞察力乏しい。
● 一事にとらわれ,柔軟性を欠く。
● 理解力,抽象能力劣る。
● 被暗示性強く,依存的である。
イ,親子関係調査をして考える。
母…拒否0 期待5 不安0 溺愛5
子…干渉0 溺愛25
ウ,環境適応検査は良好である。
エ,内弁慶外みそで,友だちと遊ばない
オ,神経過敏,依存的で学習嫌悪を示している。※ 両親が拒否的・干渉的態度をとっているため劣等感が強く,依存的で,消極的態度をとっている。担任の協力が重要である。
(4) 学業不振児(3)
@ 在籍状況
氏名 性 所属 H・0 男 U小3年A 問題の概要
ア,成績が悪い。
イ,学業不振の理由を知りたい。B 問題の起始・経過
ア,幼稚園の時の知能指数は最優。
イ,小学校に入ったら,成績もかなりよいのではないかと期待された。
ウ,評定2〜3が半分もある。
エ,2年の夏休みに学習塾に通わしたが向上のきざしはない。
オ,3年の夏休みを利用して,病院や関係機関に相談した。C 診断・指導の方針
ア,知能・性格検査を実施する
イ,親子関係などの改善充実をすすめる
ウ,本人にあった学習のしかたを考えるD 指導の経過
ア,WISC知能診断検査を実施する
● IQ122(優)
● 言語性,動作性ともによい
イ,性格診断検査を実施する
● 情緒不安定5 依存的5
● 温和,理性的で社会性がある
ウ,親子関係を診断する
● 拒否5 干渉45 盲従型5
● 矛盾型で,その時の感情に左右されることは反省の要がある。
エ,分娩(帝王切開)両親と別居1年余,全身火傷,農薬服毒,頭部打撲など※ 指導の最後に外傷的な疾病の多いことを聞く,近視の発見,脳波検査を受けるとのこと。学校との密接な連絡を必要とする。