研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 010/022page

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2 性格・行動に関する事例

(1) 登校拒否児(1)

意義 病気,家庭の事情そのた客観的な理由なく登校しない子
事例 登校時間になると腹痛,頭痛,発熱,下痢そのたで登校拒否。
原因  
(1)
神経症−学校恐怖症
(2)
精神障害−分裂病,自閉症
(3)
環境異状の非行形式−怠学
(4)
知的,身体的異状−劣等感
治療  
(1)
カウンセリング,心理・遊戯治療
(2)
医学的治療が優先
(3)
環境操作を主としたケース・ワーク
(4)
特殊学級や養護学校への就学指導
※所報3号19頁「登校拒否」参照

@ 在籍状況
氏名
所属
Y・0
F高2年

A 現症の概要
 ア,登校を拒否している
 イ,1年留年して,再出発したいという本人に対して,両親は何とか女子高を卒業させたいとの不一致感に頭をいためている。

B 症状の起始,経過
 ア,N市のいとこ2人,友だち2人が2週間きたことが,学習の妨害をされたと深刻に考えた。(46.7〜)
 イ,担任が突然訪問して,本人の旅行参加をすすめた時「神経質ですね」といわれたのが,登校拒否の口実になった。

C 診断,指導の方針
 ア,担任との密接な連絡をする。
 イ,根気よく登校を働きかける。
 ウ,精神科医,相談員との連絡を密にする。
 エ,親子関係の改善をすすめる。
  (強制・体罰・放任は有害)

D 指導の経過
 ア,問題点の反省をする。
  ● 登校拒否の対策
  (転校,予備校,通信教育その他)
 イ,担任との連絡内容をきく。
  ● いまからでもいけば卒業できる。
  ● 1年留年してもまた拒否するだろう。
 ウ,根気よく登校を働きかける。
  ● ふとんをかぶっておきてこない。
  (黙認するとズルズル欠席が続く。)
  ● 夕方になると登校の用意をする。
  ● 朝になると登校する気がない。
  ● 登校をすすめると手伝いもしない。
  ● 級友がたずねてもあわなかった。
  ● 両親の心配は高まる一方であった。
  ● 医師の診断「胃炎」(本人の症状)
 エ,相談の結果次の処置をとる。
  ● 留年は改善にならない。
  ● 一時保護(児相)をする。
  (承諾したが,土壇場で父拒否)
 オ,担任と連絡する。
  ● まっている(ノートをとって)
  ● 成績1年首席,2年2番
 カ,母親と相談する
  ● 朝晩手伝っている。
  ● 母のせいだ一生うらむという。
  ● 何かいうと,食事もとらない。
 キ,親類一同集って相談する。
  ● 本人の意志にまかせる。

※ 原因は過保護と本人の完全癖,精神的独立不安,対人関係の不調がからんでいる.


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