研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 012/022page

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(4) 乱暴な子

意義 衝動的で挙動のあらあらしい子
事例 器物損壊,暴行,けんか,傷害,生物殺傷など
原因  
(1)
感情の未成熟(過保護)
(2)
欲求不満(過度の厳格・劣等感)
(3)
神経過敏(神経質な育児・体質)
(4)
脳の異常(脳炎外傷,仮死出産)
治療  
(1)
養育態度の改善,リーダー取止め自己抑制の集団訓練
(2)
比較激励の無効果確認,劣等感の解消措置への配慮
(3)
無用の刺激や過労の排除,神経質な育児態度・本人の体質の改善
(4)
脳障害等による乱暴は専門医の診断,治療に委任

@ 在籍状況
氏名
所属
K・N
I高1年

A 現症の概要
 ア,家で乱暴して困る
  ● 物をなげる
  ● ける
 イ,ひとりでいる時はおとなしい。

B 症状の起始・経過
 ア,試験期に入る直前に乱暴する。
  (手がつかない,すごくあばれる)
 イ,注意のつもりで,体罰を加えたところ,父親にかかり大あばれする。
 ウ,東京,藤沢にいる兄に人をよんで訓諭を依頼する。
 エ,T病院の診断では「異常がない」,わがままだといわれた。

C 診断,治療の方針
 ア,養育態度を改善する。
 イ,自己抑制を集団の中での訓練をする。
 ウ,劣等感の解消についての配慮をする。
 エ,無用の刺激や過労をなくする。
 オ,本人の体質改善につとめる。

D 指導の径過
 ア,両親に対する養育態度をきく,
  ● 子どもに対する感情や態度に拒否的傾向が強くみられる。
  ● 子どもに対する心配・不安・恐怖をいだいていて,不安型の親子関係にある。
  ● 一切の権力を子どもにもたせ,親はどんな犠性を払っても子どもの要求を入れてやろうとしている。
 イ,性格検査を話し合う。
  ● 抑うつ性,気分の変化が大きい。
  ● 神経質で劣等感も大きい。
  ● 思考的外向を示し内省的でない。
 ウ,学級担任と密接な連絡をとる。
  ● 学校ではおとなしく理性的である。
  ● 家庭での生活状況を話し合う。
  ● 専門機関への相談を決意する。
 エ,教育相談を受けた後,約2週間はおとなしく効果があったとよろこんでいた。
  (12.28〜1.15)
 オ,試験が近ずき(1.18試験)また不安感が高まって暴力をふるいはじまる。
 カ,再三,教育相談を電話でする。
  ● 医師の指示を受ける
  ● 学級担任との連絡を密にする。
  ● 親子の話し合いの内容を検討する。
  ● 内観法のテープをきいてもらう。
  ● 内観法を受けさせる。

※ 過保護の母,拒否型の父,意見不一致型の親子関係の中で,子どもは激しい反抗心を抱いて反社会的傾向をたどっている。器質的な脳障害が考えられる。


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