研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 014/022page
3 進路・適性に関する事例
(1) 進路に迷っている子
意義 児童・生徒が将来進むべき路を適切に選択,推進する指導助言 事例 進学に迷っている子 原因 (1)進路可能な方向内容の不理解 (2)能力,適性の不安 (3)本人の希望の有無 (4)両親の希望と本人の意見の不一致 治療 (1)最新資料のはあく (2)詳細な諸検査の活用 (3)本人の希望の聴取,根拠の明確化 (4)担当者と両親,担任,本人との累積的な話し合い。
@ 在籍状況
氏名 性 所属 Y・ 男 B高1年A 現症の概要
ア,母親との面接から
● 大学に進学させたいが,普通高校(A校)より実業校(B校)は不利ときいたので,1年おくれてもよいからA校に入れたい。
(父親の意見)
イ,生徒との面接から
● 両親からの期待にこたえたいがとまどっているので,相談にきたという。B 症状の起始・経過
ア,高校進学の指導を受けたとき,中学校ではA校は無理だといわれB校に入った。しかし,A校には十分合格できる力をもっていた。(父親)
イ,来春3月,再度A高を受験させたい。C 指導の方針
ア,現在校にとどまる(B校)
イ,健康,自律的学習の推進D 指導の経過
ア,事情をよくきき,実態をつかむ。
イ,A校受験への方法をいっしょに考える。
(ア)すぐ退学して予備にいき, 受験 ○
(イ) 3月1日退学して 受験 ○
(ウ)学校に相談して 受験
(エ)学校に無断で 受験
(オ)すべりどめ(私立と公立受験)
(カ)現在校で最高の生活をおくる ◎
ウ,現在校の長所を確認する。
進学率も高い
卒業生の動向
母校への誇りE 考察
ア,電話でこの相談事項を受けて,高校における実態をきき,再受験の長短方法,処置などを検討した結果,上記(カ)が最もよく,(ア)(イ)がつづくと確認して助言に当ったのがよかった。
イ,指導方針どおり助言にあたって,下記要旨の私状を手にした。
相談するまでは,恥をさらすのではないか,"秘密のうちに解決したい"父,母,子が三人三様の考え方の違いが一点に結びつかず,先生のお力をお借りしました。
先生のお話は思い当ることばかりで反省させられました。子供もどんなに大きな力でつつまれたか目に見えるようです。幸い子供はよい友に恵まれていますので大きく育ってくれるものと思います。
帰えりの車の中で,親子同時に「先生のお話をきいて本当によかった」といって喜こびました。厚くお礼申し上げます。