研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 017/022page
(1) 神経症の子
意義 心理的原因による心理面や身体面に固定してきた機能的障害をいう。 事例 神経症・自律神経失調症・ノイローゼ気味の生徒。 原因 (1)突発的な変化により,激しい情動の変化の惹起。 (2)家庭内の人間関係,学校そのたの生育環境などからくる葛藤。 (3)神経症にかかりやすい性格。
(神経質・過敏・完全癖その他)治療 (1)問題症状から原因を究明する。 (2)生活史をくわしく調べる必要がある。 (3)元気づけや環境調整,医師,専門機関との協力治療が肝要である。
@ 在籍状況
氏名 性 所属 G・S 男 C高1年A 現症の概要
ア,各学校についても学習内容が頭に入らない。(文字が文字として頭に入ってこない)
イ,心身の成長のギャップがみられる。B 症状の起始・経過
ア,小さいころは内気で外に出て遊ばなかった。
イ,中学2年の時生徒会長,3年の時成績では首位を争ったが,いやなことがあって転校を希望したことがあった。
ウ,転校できなかったので,心の傷となったという。
エ,中学3年の時血圧200まであがった。
オ,高校1年の5〜6月ごろより頭痛が続き本がよめない状態になった。
カ,予習内容と教師の指導内容が同じで教師への不信感が生まれている。C 診断,指導の方針
ア,学校に対する不信感がうかがわれる。
イ,自律神経失調症(医師の診断)でノイローゼ気味である。
ウ,原因,過程を追究しないで,一日も早くなおすため,薬を服用し,医師の指示にしたがうことをすすめる。D 治療,指導の経過
ア,専門医の治療を受ける。
● K病院−異常を認めない
● F病院−自律神経失調症
● 東京D病院 〃
● 東京G病院 〃
● 仙台K病院 1ケ月入院
● N病院 薬服用
イ,原因,過程を忘れ専門医の指示に従う。
ウ,教師・学校への不信感をとり除く。
エ,将来の希望について話しあう。
(一期校大学への進学)
オ,母親との冷たい関係を転換させる。
● 期待が小言となり,不平となる。
● 起床,就寝のせわが干渉となる。
● 本人の理論と行動不一致となる。
カ,環境の変化を求めているので次の内容について話し会う。
● 森田療法についての質疑。
● 内観法についての質疑。
(試験終了後いってみる)
キ,分離不安(本人は意識していない。)※ 幸いなことに,本人の小学校時代の思師が近くにいて相談できることである。会えば問題点をテキパキと指摘してもらえることが,本人の支えになっている。