研究紀要第10号 教育相談の事例に関する研究 教育相談の概要と面接・通信の相談事例 - 019/022page

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(2) 家出をくりかえす子

@ 在籍状況
氏名
学年
住所
A・B
中2
M郡I町

A 問題の状況
 ア,現在の問題
  ● 家出をくりかえしている(3回)
  ● 雲をつかむような浅い考えが心配である。
 イ,問題の起始・経過
  ● 第1回 14年間お世話になりました。
         まゆみ(妹)と仲よくくらしてください。
  ● 第2回 急に上京したくなった。
  ● 第3回 南さおりのマネージャーになりたい。
  ● 本人の家出の理由は以上のようなことだが,真因はいったい何であったかは知らない。

B 返信資料の収集
 ア,家出の事例集を研究する。
 イ,家出の教訓を集める。
 ウ,通信の内容から資料をつくる。

C 返信の内容

 家出は意識的に多少衝動的に自宅を出ることで,だしぬけにされ,反復される傾向があります。心配なのは家出が非行とつながったりしてとんでもない方向へ暴走することです。
三回も家出した息子さんの真因は何だったのでしょう。もう一度考えてみてください。
1,家庭に問題はなかったろうか。
2,親子関係の障害はなかったろうか。
3,思春期特有の心理は動かなかったろうか。
4,家出する理由はみあたらなかったでしょうか。

 家庭では,身体はおとなのようでも,精神的にはまだ子どもで,そのバランスがとれていないことに気ずき,どんな家庭教育をしたらよいのか,困っているようすである。
 親子関係も干渉しすぎているようでもあり思春期特有の心理から,刺激と冒険を求め,はなやかさにあこがれている。
 全く夢のような,雲をつかむようなあさい考えにがくぜんとしている親の心をおもい,次のような内容をつけ加えた。

 上記原因から,対策として,次のことを検討してみてください。
1,偏愛(妹への)があったのではないかの反省(偏愛の意識はなくても)
2,思春期なるが故に,女の子への関心が高まっていることへの理解。
3,過大な期待をかけない配慮。
4,親子の話し会いの充実。

 とにかく学力もあり,副委員長,野球部のリーダー,マラソンの選手(大会で優勝)とあっては話せばわかる息子であろう。
 そこで次のことをつけ加えた。

  1,親子の話し合いをしよう。
   ● 朝夕のあいさつ
   ● 感謝のことば
   ● 学校,社会のできごと
  2,楽しみの機会をつくろう。

 どうしても出たいという時には,合法的家出,(行先と期間を決める)をさせたらどうかと提案した。

×    ×    ×

※ それから1年,音信不通だが,多分うまくいったのではなかろうか。


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