研究紀要第11号 学習指導改善に関する研究 理科実験器具の作成 - 013/024page
10.発泡スチロール樹脂切断器
1.製作のねらい
発泡スチロール樹脂のすぐれた性質を利用し各種実験器具を製作する。その切断には,安全かみそりの刃かNTカッターを用いる方法,電熱線を水平に張りスライダックで10V位で電流を流す方法がある。細かい細工,安全性,便利さからみれば本製品の方がすぐれている。また,平面切断だけでなく,円柱切断器も準備した方が利用範囲が広く発泡スチロール樹脂細工が能率的になる。
2.製作の方法
材料:12VAトランス,電熱線(200W,300Wのこ刃,コード,プラグ,リード線,ターミナル(2)ラワン材,ベニヤ板(厚12o),角木(4×3×8p),鉄棒(m/m5)
(1) 本体 腕木を切り取る(ベニヤ板)丸味が難かしい時は角張ったものでよい。それにターミナルをつけ垂直に仮りに立てターミナルの先端より糸を下げ,平板に穴をあける位置を決める。直径1.2pの穴をあける。その後腕木を正しく釘づける。電熱線は使用中たるまないように,平板の下に三角形の角木をつけ,その上にのこ刃を固定し,その反発力を利用して強く張っておく,トランスの位置はどこでもよい。200W電熱線で10V端子を使う。
(2) 円柱切断器直径5oの鉄棒にねじを切り右図のように固定する。上のねじの部分にナットをつけ,電熱線(300W)を張る。
3.使用法
(1) 本体に電流を流し,定規用角材にそって必要な大きさ,厚さに切る。
(2) 円板を切る。必要な厚さの樹脂に,必要な円を書いて中心を決める。円周上に電熱線が来るようにしてから,円の中心をキリのようなもので固定する。静かに樹脂板をまわしながら切っていく。
(3) 円柱を切り取る,ビンの形に合せる,本体のニクロム線をはずし,ターミナルからリード線で円柱切断器の電熱線に接続する。(両方一度には使わないこと)必要な円柱の太さの半分の形に電熱線を曲げる(図参照)高さを調節する。静かに樹脂板を動かして切る。
留意点
原理は熱によって樹脂を融かして切るのだから余り早く移動させると形がよくない。ゆっくり進めることが大切,特に,円柱を切り取るときは,電熱線が上にあがりやすいので注意を要する。
尚,最近帯状ニクロム線が市販されていることを付記する。(坂口電熱株式会社,化学教育 20 115(1972年)参照)