研究紀要第11号 学習指導改善に関する研究 理科実験器具の作成 - 022/024page
18.工ネルギー変換実験器
1.製作のねらい
従来電気エネルギーは発熱の形でしか定量的には実験しなかったが,電気エネルギーは力学的仕事に変換して用いるのが実際上もっとも多いのである。この間の関係もある程度定量化した実験をおこない,電気エネルギーなるものを実感として学びとらせたい。この器械は最近各教材会杜から売出されているが高価であり,各グループごとに実験させることは困難である。そこで手軽に作れる装置を考えてみた。
2.つくり方
材料 まぶちモーター(RE56)
プラスチック製プーリー =2p
=5p
ターミナル 4個
心棒 =2.5o 長さ13p
電池 単1 およびホールダー
ベルト……輪ゴム
心棒とりつけ金具……ブリキ板加工
フック付き糸 1m20ぐらい
以上の材料を写真のようにきざみをつけた板(17×14p)にとりつければよいわけであるが配線図を示すとつぎのようになる。
3.使用法
(1) 電圧計端子に電圧計をつなぎ,電流計端子に電流計をつなげばモーターは回転し,電流計をはずせば回転は止る。
今心棒につけた糸を巻きほどき下端におもりを吊す。モーターを回し,おもりが目印の点を通るときストップオッチを押す,おもりが巻上げられ目印の点から1mあがったときストップオッチを止める。この時間をT秒とする。その間電圧計と,電流計の示す値V,Aを読んでおく。
この間に消費した電気エネルギーは
W=V×A×T
で示される。
おもりの目方を30g,60g,90g,120g,150gと変えて実験し,おもりなされた力学的仕事(おもさ×高さ)と消費された電気エネルギーとの関係をグラフにして考えさせる。
グラフが原点を通らないのは何故かなど。(2) 電池をはずし,電圧計端子に豆電球をつなぎ,おもりを吊す糸を手で引いてやると豆電球がつき,力学的仕事が電気エネルギーに変換することをも定性的に実験することができる。