研究紀要第12号 学校経営改善に関する研究 理論と事実編 - 002/016page

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 「その他」については,5項目について配慮するが大部分であり,中・高校に「生活対応」を中核とするがみられる。それで5項目を配慮する場合は,その中に順位があるにしても一般化され,抽象的な教育理念か,抽象的指標のら列になりがちのようである。それは目標の性格上やむをえないこととも思われ価値は認められるが,教育活動をとおして,具現化されなければならないことなので,十分吟味し,検討を要することになろう。

 具現化には,教育目標そのものを具体的指標にするか,教育目標とともに実践施策として,具体事実,機会と場が示されることが望まれる。次に教育目標(小学校)の1例をあげ,具体事項から具体的指標について考察してみることにする。

表2 具体的指標
具 体 的 指 標
1 元気に運動のできる子ども
2 学習や係の仕事を進んでできる子ども
3 生きものを愛し世話のできる子ども
4 友だちと励まし助け合いのできる子ども
5 自然に親しみたいせつにできる子ども
6 学習や仕事をくふうしつづけて努力のできる子ども

表3 教育目標と具体事実
教 育 目 標
1 元気でじょうぶな子ども
2 自分から進んでやる子ども
3 すなおでおもいやりのある子ども
4 たすけ合いなかよくできる子ども
5 自然に関心をもち親しめる子ども
6 最後までがんばれる子ども

目標
具 体 事 項
1
1 意図的・計画的にのびのびとした歩行
2 自覚的・積極的に元気な運動
2
3 学習や係りの仕事の積極的な実践
4 善悪の判断を主体的にしての行為
3
5 親しみ,感謝をもつあいさつ
6 植物や動物に関心をもった愛育
4
7 仲間に入り,自分の意見も生かせる協調性
8 失敗や困難を励まし,助け合える友情
5
9 公有・私有をはっきりし,たいせつにできる公共性
10 自然と郷土に関心をもてる情緒性
6
11 学習や作業を継続的に努力できる強い意志
12 行為に疑問をもち,改善しようとする創意性

 ここに掲げた教育目標は,抽象的ではあるが,ことばとしては具体性をもっているのでこれからの具現化も可能と思われるが,事実としての具体性が明らかであれば,より容易に系統的な具現化をはかることができよう。

 具現化のためには,具体事項があり,機会と場が明らかでなければならない。機会としては,教科等の指導時は当然のこと,朝の会,清掃時,休み時間,登・下校等学校生活の全領域で行なわれ,場としては家庭生活にも反映すべきであると思われる。具体的指標は,こうした具体事実と機会・場をふまえて立てられるべきである。

(2) 教育目標設定の主とした根拠

 教育目標の設定にあたっては,法規や教育委員会の目標,あるいは要望が基盤となることは当然であるが,たまたま現実と離れた理念的なものがみられる。そこで次のような7つの項目により追跡検討をしてみることにした。

 @ 教育関係法令を中心とする。−関係法令
 A 県や市町村の教育目標または要望を中心とする。−県・市町村の目標
 B 創立当時からの教育理念による。−創立当時からの理念
 C 校長の教育理念を中心とする。−校長の理念
 D 地域性や児童・生徒の実態による。−地域性や実態
 E 前年度の反省からの実績を中心とする。−前年度の反省・実績
 F 教師集団の意向を重視する。−教師集団の意向


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