研究紀要第12号 学校経営改善に関する研究 理論と事実編 - 006/016page
児童・生徒(学習組織)の面からは,学級集団編成が取り上げられよう。編成の根拠については,出生月日や体位の平均化,生活環境範囲の近接化,学業・行動状態の平均化,希望・進路の類型化等があげられるが,単一の場合は少なく,大部分は複合的である。いずれにしても根拠は目的によって異なるので,まず学級集団の機能を明らかにする必要がある。機能としては,学習のよりよい成立,人間性のよりよい陶冶にあると思われるが,常に両者を満足させるような編成は無理であり便宜的なものとして,等閑視されがちである。
こうした事態を改めるには,教育活動の単位を学級集団に固定させないで,弾力的な取り扱いをすることである。すなわち教科指導においては,その教科の特質,題材に応じ,時には指導過程において,大集団(2学級以上の合併)にしたり,中集団(学級程度)や小集団(学級の1/2以下の分割)にすることである。このような取り扱いをすることにより,本質的な授業が展開されると思われる。
(3) 教授・学習組織の活動
児童・生徒の直接指導にかかわる教授・学習組織の活動としては,計画(評価も含めて),そして実践,その際の集団構成のあり方が問題にされよう。ここでは計画について追跡検討してみることにした。
@ カリキュラムの計画・管理
標準カリキュラムとか,基準カリキュラムとかいったものでなく,実際授業におろされた指導計画として,改善・管理の基盤をどこにおくかということである。その状況は次のようである。
表13 カリキュラムの計画・管理 (%)
事 項 小学校 中学校 高 校1 職員会議で検討する 29 19 252 学年会に委譲し検討・管理する 19 3 ―3 教科主任会で検討する 8 12 264 教科部会で検討する 22 53 115 教務係で検討する 6 5 96 委員会を設けて管理する 63
277 代表者会議で検討する 4 1 18 その他 6 41
小学校においては,職員会議と教科部会(教科主任会も含めて)が中心である。このことは,学級担任方式から当然のことと思われるが,組織体制の活動面からみれば,学年会が重視されてよいのではないかと思われる。中学校においては,教科部会が中心である。これも当然のことと思われるが,共同管理としての体制を明確にすることが課題として残されているようである。
高等学校においては,委員会と学年主任会が中心になっている学校の性格上から当然のことであろうが,活用・改善の実際面での「過程管理」の究明が必要になろう。
A 教科主任と学年主任の役割
カリキュラムの指導・管理に関連して,教科主任や学年主任はどのような役割をもっているか,その状況は次のようである。
表14 教科主任と学年主任の役割 ア 教科主任の役割 (%)
事 項 小学校 中学校 高 校1 教科カリキュラムの編成をする 34 35 352 教科指導の助言や相談に応ずる 45 25 243 進度の調整や時間数を確保する。 12 27 244 学習指導の評価をする 8 12 145 委員会を運営する 1 1 3
イ 学年主任の役割 (%)
事 項 小学校 中学校 高 校1 学級間の活動を調整する 26 38 332 指導計画・日課の調整をする 32 16 143 生徒指導・行事の立案をする 8 26 324 授業時数を確保する 23 7 35 ティームの助言と相談に応ずる 8 13 176 その他 3 ― 1