研究紀要第12号 学校経営改善に関する研究 理論と事実編 - 012/016page

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 要因の機能的構造であるとする。その具体的内容として,職員会議や各種委員会があげられよう。
ここでは職員会議を中心に検討してみることにした。

(1) 職員会議の性格

 職員会議は,定期的にあるいは臨時に全職員が参加し,校務の重要問題を審議するとともに,内外の情報を交換し,意思の疎通をはかって,協力体制のもとに教育活動を展開するための重要な機関である。このことを表示すると次のようになる。

表22 職員会議の性格
性  格
条  件
1 会議体としての機関 全職員の公的参加による
2 諮問機関 校務の重要問題について審議する
3 意思表明の機関 内外の情報を交換し,共通理解をはかる
4 連絡調整の機関 意思の疎通をはかって,分担役の機関割を遂行する
5 補助機関 協力体制により教育活動を展開する

(2) 職員会議の変遷

 運営組織の一つである職員会議は,教員会議とか,職員会といわれ,上意下達的に必要に応じて校長が召集し,意見を徴するものであって,命令伝達と限られた範囲の諮問といった性格のもののようであった。したがって発言の内容よりも発言者の個人的序列によって軽重がとわれ,上席者の支配的ふん囲気が強かったようである。

 終戦後はそのふん囲気が変わる。特に昭和21年10月3日,文部省学校教育局長から地方長官宛にだされた「教育研究協議会新設に関する通牒」は,職員会議と別個に校長の司会によらない教職員の自主的会合として,教育研究協議会の設置が勧奨されたことにより,期待とは逆に現場においては,学校運営の主体が協議会にあるとする解釈が強まり,職員会議は弱体化し,実質は協議会に置き替えられる傾向になる。

 こうした現状から昭和23年6月8日,文部次官通牒がだされ,校長は一校の最高責任者であることが明らかにされた。その後の職員会議は正常化をたどるようになるが,実質的には多様な機能がみられた。
 職員会議と協議会をどう扱っているかの状況は次のようである。

表23 職員会議と研究協議会
(%)
事  項
小学校
中学校
高 校
1 分けている
91
95
61
2 分けていない
9
15
39

 (3) 職員会議のあり方

 職員会議のあり方は校長と教師集団とのかかわり合いにおける意識と条件から,次のようにみることができよう。

@ 校長と教師集団を水平関係におき,双方の意見調整により,弁証法的に問題を処理しようとするものである。
このような概念は,もともと校長と教師集団が教育理念に相違があるべきでなく,方法論として考えられていることを示すものだろう。
 集団構成員が校長の考えに拘束されることなく,意見を自由にだして,討議し得るところに特色があろう。

A 校長と教師集団を上下の関係におき,校務運営上の重要問題について意見を徴しようとするものである。
本来の諮問機関,補助機関としての性格を果たすものであるが,ややもすると上意下達の機関となり,各教師の意思がじゅうぶん会議に反映しない懸念がもたれる。

B 校長と教師集団を同円中心関係におき校長も教師集団の構成員の側面をもち,抱負理念を表明し,他の意見も聞き,衆議を尊重しながら処置しようとするものである。

 こうした場合,校長の職務権限が生かされ全職員の経営参加の積極性が助長されることになろう。
職員会議の決定は,校長の職務を拘束するものでなく,よりよい遂行のために諮問に応じ,援助することになる。したがって校長は職員会議を尊重し,衆議にそった経営を行なうべきであろう。


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