研究紀要第13号 教授組織に関する研究 理論と実践編 - 001/019page

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1.研究の趣旨

 現代社会における科学技術の高度化や情報の迅速化は,社会の機構をさまざまに変えている。こうした現象は必然的に学校教育にも反映し,教育内容,教育組織,教育方法・技術の抜本的な改善に迫られている。こうした現状から,組織体としての学校教育の原点にかえり,「目的のもとに成員相互のコミュニケーションを有し,共同の責任と相互の役割をもつ統一体」としての機能を再検討することにより,その成果がひとりひとりの児童生徒によりよく成立するよう再吟味する必要があろう。
次にその具体事項をあげることにする。

(1) 学年(学年団)組織体制の強化により、学校経営の機能発揮をはかる。

 従来も学校教育は,学校・学年・学級と組織立てられているが,機能的には経営方針・施策・業務などが学級に直結し,学年(学年団)の立場は,範囲外におかれたようである。この学年(学年団)の立場を再検討し,指導・業務管理の推進母体とし,協力組織体制により効率を高める。

(2) 弾力的な学級集団の再編成により・個別化・集団化をはかる。

 児童・生徒の発達段階・経験に応じ,教材内容に即して,組織的に既成学級を弾力的に取り扱い,大集団・小集団に再編成し,ひとりひとりの子どもの学習成立をより確実にする。

(3) 協力体制での分業・協業により本質的な授業を展開する。

 教師の協力による単元指導計画の作成,授業における教育機器の導入,協力的な役割分担の活動により,集大成としての教育効果を期待する。

2.研究の視点

(1) 単元指導計画の共同作成

 実際の授業計画を単元(題材)ごとに展開する。
 これを単元指導計画とし,単位学年・あるいは近接学年による学年団で共同作成する。そのため学年(学年団)の組織をあらかじめ分業・協業が可能であるよう配慮する。

(2) 教材、発達段階・経験に応じた単位集団の再編成

 教材の性質,あるいは教科内容に応じ,児童・生徒の発達段階・経験によって,既成の学習集団を合わせて大集団にしたり,グループに分けて小集団にしたりすることである。そのためには,単位学年(学年団)の教師が協力して生徒指導が行なわれる体制にする。

(3) 教師の特性を生かしたティーム・ワーク

 教師の特性を生かし,授業過程における段階的な確かめや,教育機器の導入を容易にするため,主となる教師,援助する教師といった役割で主体的に分担し,協力し合って本質的な授業の展開を意図する。
 その役割は固定したものでなく,教材の内容によっても交替するなど弾力性をもたせる。

3.研究のねらい

 研究の視点から本県の実情を検討し,一般的とされる普通規模校と,小規模少人数校を対象とし,そのねらいを次のようにする。

(1) 普通規模校

「協力教授組織による教授過程とその役割分担活動」

@ 具体的なねらい
 ア、体育の一部合併授業の単元指導計画の共同作成と、協力・分担授業の進め方。
 イ、理科・算数の一部複数授業の単元指導計画の共同作成と,協力・分担授業の進め方。

A 実施学年団
 ア、体育は全学年団で行なう。
 イ、算数は低学年団,理科は中・高学年団で行なう。

B 実験学校
 福島市立吉井田小学校


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