研究紀要第14号 児童・生徒の社会認識に関する研究 マスコミ文化・男女交際についての考察 - 001/022page
児童・生徒の社会認識に関する研究
―マスコミ文化・男女交際についての考察―
T 調査研究の趣旨
標記の研究テーマについては,すでに第1年次,第2年次のまとめを発表したが,今年度は昨年度にひきつづき児童・生徒の社会認識に関する研究で,男女交際のあり方と性情報に対する反応(マスコミの取得状況)について調査をとおし明らかにし,今後の児童・生徒の理解や性に対する適切な指導のための基礎資料をえようと考えた。
現在の社会文化は,めまぐるしいほどの発達と変遷をみせているが,その中で生れ育っている子どもの意識は,当然その影響をうけて,価値観が変化し,生活観や社会観が親の世代とは大巾にずれてきていることが予想される。特に性や男女のあり方に対する認識や感覚が変容してきたことが顕著に感じられる。
そこで,男女の正しい人間関係の確立をめざすとともに,明るい学校生活と幸福な家庭生活をつくりだすことのできる人間形成を志向する研究の一端を分担しようと考えた。また今年度の調査は,昨年度の調査をもとに,それをさらに「社会認識」という観点から補足し,深化するために実施したものであるから,本年度の調査だけをみるとやや系統性を欠いていると思われるが,最終的には,全国的な規模で集約されるので,そちらにゆずることにする。したがって今回は,とりあえず福島県の結果だけをまとめたものであるので,御了解いただきたい。
U 調査の経過と方法今回実施した調査構造は下記のようである。
〔調査の構造〕
また調査方法を大別すると質問紙法によるものと面接法(グループインタビュー)によるものの二つがある。前者は,上述したように昨年度の調査を補足するためのものであるが,後者は,男女関係や性の問題はプライベートな内容が少なくないため,質問紙法では深く掘り下げることができないし,またややもすれば「たてまえ論」的な応答になりやすい。そこで質問紙調査の欠点をカバーする意味で,面接法による調査を加えた。
一対一の面接では時間がかかるし,調査員とのラポートの成立がより困難であるので少数のグループ・インタビューとし,できるだけリラックスした環境を構成するなかで,児童・生徒のなまの声をきくことにつとめた。
調査の対象と期間は次の通りである。A質問紙法
(1) 調査期日 昭和48年9月上旬
(2) 調査方法 学年指定で,標本は無作為抽出である。質問調査は各学校に依頼して実施した。
(3) 調査対象と標本数
都 市 農 村 計 合 計 男 女 男 女 男 女小学校6年 60 67 64 44 124 111 235中学校2年 67 58 49 67 116 125 241高校2年 50 50 50 50 100 100 200 総計 676名B面接法
(1) 調査期日 昭和48年11月〜12月
(2) 調査方法 質問紙法の対象になった学年(小6,中2,高2)から男女それぞれ10名程度を無作為抽出し,研究担当者が調査員となって実施した。
(3) 調査対象と標本数