研究紀要第14号 児童・生徒の社会認識に関する研究 マスコミ文化・男女交際についての考察 - 007/022page

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たところ圧倒的にドラマ・劇映画をみることが多く,気分をかえたいとき見るという意見が小学校52.9%,中学校57.1%,高校40.4%という結果がえられた。次に,見るのがくせであるという状態が,小学校11.7%,中学校19.0%,高校33.3%という結果が第2位を示したことは,前表との関係から児童・生徒を眺めると,テレビは一般に自分の欲求の充足を妨げないかぎり生活の中にとりいれ,テレビで演じられる活劇やドラマが自分の生き方に作用しやすい傾向が,いらいらする生活をする者にとり大きいことがうかがわれた。

 その他の児童・生徒たちは,割合個入的志向によりテレビを視聴し,テレビの影響力は,情緒安定者ほど受けにくいし,この子たちはテレビヘの魅力が減少し,それに代わって勉強やクラブ活動へ力をむけることがより大であるという結果がえられた。これらは,いわばテレビ(マスコミ)における社会的,道徳的効果という問題を示唆する点で注意を引く事実である。

 ただここで断っておきたいことは,あくまで単純集計からみた個人的見解であるので,学年差,性別,地域別からみた個人差に目をむける配慮と技術的に部分的調査範囲に終始した点等,今後の課題に検討を加え累積的データを整える必要があろうと思われる。

5.男・女の服装の中性化は,どのような状態であろうか。

表4.男・女の区別のつきにくい服装についての意見はどうであろうか。

表4



肯定
性別にこだわらないで個性にあったものであればよい
9.7
18.0
12.9
20.8
18.9
27.0
われわれの時代の自己主張のあらわれだから気にしなくてよい
15.3
9.9
3.4
3.2
8.1
11.0
中間
個人の自由だから好きなようにしたらよい
17.8
13.5
33.6
24.8
44.2
30.0
否定タ

男は男らしく,女は女らしくするのがよい
54.8
55.0
46.7
48.8
28.8
29.0
社会ルールを無視しているからいけない
1.6
0.9
1.7
2.4
0
0
その他
0.8
2.7
1.7
0
0
3.0

 本調査は,46年度調査した紀要23頁をみても明らかであるが,現状肯定型には,「性別にこだわらないで個性にあったものであればよい」「自己主張のあらわれだから気にしなくてよい」の選択肢を選んだものが,約3割で,中間タイプは,「個人の自由だから好きなようにしてよい」がそれに続いている。否定的タイプは,高校生に3割みられるが,低年令ほど多くなる。全体をみてみると肯定,中間,否定の3つのタイプに分散し,明確な傾向は,みあたらないといえよう。

 「社会のルールを無視しているからいけない」という禁止型は,小学生から中学生に0.9〜2.4%みられるが,高校男・女子は,皆無の状態であった。これは上学年になるほど性の解放を服装の自由という立場から肯定するものと,人間にふさわしい性を求め,男は男らしく,女は女らしくしたいという立場から否定するものに大きくわかれている。ここにもひとつの問題点は認められるであろう。


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