研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 013/020page
小・中・高 学 校 教 材「地球の自転および公転に関する指導」についての一考察(要旨)
渡辺 専一・小野寺 寿雄
1.はじめに
地球の自転,およぴ公転についての学習内容は,小・中・高校でそれぞれ発達段階に応じ,事象の認識の程度およぴ思考過程・探究の方法に深まりを持たせながら,一貫して取扱われている。
小学校では3年月の動き,4年・5年星の動き,6年太陽の動きを観察し,星,太陽,月などの相互の運動関係を考察させ,最終的には,地球の自転を学習のねらいとしている。
図−1
透明半球を用いた天体の運動モデル
図−2 作製図
(数字の単位はミリメートル)
中学校では,小学校で学習した地球の自転に加え公転に関する現象の理解が重視され,自転・公転を総合的にとらえようとしている。
高等学校にあっては,地球それ自体の自転の現象を実験的・定量的におさえ,公転にあっては年周視差などを含め,かなり高次限から自転・公転を取扱っている。そしてしかも,これらを基礎に地球・宇宙の進化まで発展させている。
小・中・高校いずれの場合も同様であるが自転・およぴ公転は,同時に関連して生ずる現象であるだけに,それぞれを分離して観察するのに困難である。そのため思考段階においても,その複雑な二要素がからみあって指導が極めて困難な領域である。
そこで一つの試みとして透明半球を2個組み合せて、これをうまく使うことにより,いわゆる思考過程の中の空間概念の複雑な部分をある程度除去することが出きるのではないかと考え,その要旨を記載するものである。
2.教具の準備について
天体の現象の事実を観測し,データを集めこれらを総合的に考察していく中で必ず,学習者の頭の中に,それなりのモデル化が行なわれるはずである。その場合の指標として,図−1,図−2のような装置がかなり効果があるので使用されたい。
準備する教材として透明半球2個を合わせ紙面の