研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 018/020page

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高 等 学 校 教 材

酢酸エチルエステルの合成条件と平衡定数

佐久間 善克

 高等学校における化学Uには,従来通りエタノールと酢酸からエステルの合成実験が記載されておる。この場合必ず硫酸を使用しておるが,硫酸以外の酸を使用してもエステル生成が同様にみられることを実験的に確かめ酸の働きを考えさせることが必要である。
 ここでは,塩酸を触媒に使用した場合のエステル生成条件の検討と,平衡定数の測定を行なったので報告したい。

実 験 法

(1) 酸の添加量とエステル生成量の場合

 15o試験管に酢酸(1級)5(8.75×10モル-2モル)エタノール(99.5v%1級)5(8.66×10-2モル)をピュレットで取る。濃塩酸をビュレットから加え,恒温槽で一定温度にして5分間反応させ,直ぐガスクロマトグラフィー(以下GCと略す)で分析する。試験管口には直径3o長さ50pのガラス管をつけ液体の蒸発を防ぐようにする。

(2) 平衡定数の測定

 酢酸とエタノールの必要モル数を三つロフラスコに取り,濃塩酸1加え,一定温度にして反応させる。フラスコの中から10分毎に溶液を取り出しGCで分析する。

(3) ガスクロマトグラフィー

 島津GC−4BPT型
Column Stainless 3o×3m
Dioctryl phthalate−B
Carrier gas He 30/min 0.8kg/p2
Bridge Curr 80mA
Chart Speed 20o/min
Calimn Temp 105℃
Span 64mV
試料注入量 約0.2

図1
図1 クロマトグラフ

(4) 酢酸エチル生成量の計算

 エタノールと酢酸エチルのあるモル比の混合物数種類をつくり,その0.2をGCに注入し,クロマトグラフの面積を半値幅法で測定する。グラフ化してモル比と面積比の関係を求めると次の関係式が得られた。
 
酢酸エチルとエタノールのクロマトグラムの面積を求め上式からモル比aを計算する。
 また,次の関係が考えられる。
 CH3COOH+C2H5OHCH3COOH+H2O
反応前 Aモル Aモル Oモル Oモル
反応後 (A−x)モル(A−x)モルxモルxモル
 
 
最初の酢酸Aモルに対して酢酸エチルは
 Aa/1+aモル生成している。エステルの生成率はa/1+aになる。これをグラフ化していく。

実験結果と考察

(1) 加えた塩酸の量および反応時間とエステルの生成率

 60℃において塩酸の量を変化させた時のエステル生成率を図2に示す。


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