研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 019/020page
70℃では漸増してやがて水平になる。60℃では0.3〜0.4で急増しているのが特徴である。グラフの水平部分は塩酸の量に関係なく一定の収率が得られるところなので安定した収率が得られる部分と考えれば,いずれの温度でも加える塩酸の量は0.7〜0.9の範囲と考えられる。多くの教科書にみられるように2の酢酸とエタノールの反応ならば約0.3〜0.4加えれぱよい。
GCで測定後18o試験管に移し,純水20を加えれぱ60℃では塩酸を0.3加えたものから,70℃では塩酸を0.2加えたものからはっきりとエステルが分離されてくる。
従って60℃〜70℃で濃塩酸の体積比で0.14〜0.18加え,攪拌しなくとも試験管口に冷却用ガラス管を用い,5分間位反応させれぱ充分実験の目的を達することができる。(2) 平衡定数の測定
酢酸エチルの生成率を時間の経過と共に測定してみると,ある生成率のところで一定になってしまう。いわゆる反応が平衡に達しなのである。その結果を図3,表1に示す。
表1 エステルの生成
時間 T U V W X 10分
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
1500.431
0.529
0.589
0.626
0.627
0.641
0.631
0.644
0.649
0.344
0.456
0.530
0.556
0.593
0.585
0.604
0.601
0.620
0.613
0.603
0.616
0.231
0.391
0.415
0.469
0.491
0.532
0.539
0.543
0.559
0.560
0.582
0.579
0.593
0.581 0.550
0.736
0.786
0.826
0.823
0.857
0.845
0.834
0.825
0.837
0.95
0.88
0.83
0.80
0.75
0.75
0.74
0.71
0.68
0.67
0.66
0.66
0.66
0.66
0.66T:酢酸1モル,エタノール1モル
濃塩酸1 反応温度70℃
U:Tと同量 反応温度60℃
V:Tと同量 反応温度50℃
W:酢酸2モル,エタノール1モル
濃塩酸1 反応温度70℃
X:酢酸エチル1モル,水1モル
濃塩酸1 反応温度70℃グラフからわかるように温度が高い程平衡に達するまでの時間は短かく70℃で約60分,50℃では約120分である。
70℃では最初の10分間で40%以上の酢酸がエステル化しており,この段階では(1)の結果と併せて考えてみればわかる通り,水を加えれぱエステルは充分分離できる。
Vのグラフは酸触媒によるエステルの加水分解を