研究紀要第17号 学校経営の改善に関する考察 現職研修 - 002/014page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

4 本年度

本年度は,これまでの研究を基本として推進した。
しかし,「学校経営の改善」に関する内容は極めて広範囲にわたるため,その中から「現職研修」
に関することをとり出して課題とした。

 

U 現職研修に関する調査

1 調査の概要

(1) 調査の趣旨と目的

学校経営の目標を単的に言いあらわすならば,教育活動の効率を高め,学校教育目標の実現をはかることであろう。したがって経営目的を達成するためには,ひとりひとりの教師のもつ教育力がきわめて重要な要素といえる。

教育の内容や方法が高度化し,多様化してきている今日にあっては,教師はたえず専門的知識や技能を身につけ向上に努める必要がある。教師にとって普段の研修は欠くことのできないものであり,そのことが本質的なことである。

学校における研修は,現場における実践人として自己の教育実践をふりかえり,これを分析検討して問題点の究明をし,さらにすぐれた実践に入るという主体的なとりくみが特徴であり,それが価値ある研修でもある。また研修はもともと個人に成立すべきものであるから,主体的な自己けんさんを重視しなければならないことは当然であるが,学校としての組織的な研修も教育活動の積極的な改善のためには一層重視されねばならないと考える。

このような観点から,本年度は,第3次(昭和48年度)までの「学校経営の改善に関する研究」(即ち学校組織の各系列の機能化と学校経営としての相互作用のあり方の追究)の中から特に「校内研修」をとり出し,さらに調査を加えて検討考察を試みようとした。

福島県教育センターにおける学校経営講座研修生の研究報告の中から,現職研修の阻害要因をあげると,およそ次のとおりである。
・研修時間がたりない。
・教師の研究意欲がひくい。
・研究内容や計画・手順についての共通理解が不足している。
・適切な指導助言がえにくい。
その他(人間関係・研修組織・研究資料の不足等)
これらは,わずか27校の例であるため,断定はできないにしろ本県の一般的傾向のようにも推測される。

校内研修について考慮しなければならないことは,研修組織の問題よりも,何をどう研修するかという内容の問題が,よりたいせつであると言われている。
しかし,上記の阻害要因の多くは,研修の組織や運営と深くかかわりあっている場合がすくなくない。

それで研修内容がより問題なのであるという認識にたちながらも,校内研修の組織についてその実態はあくや考察をすすめてみようと考えた。
この調査は,以上のような趣旨から,「校内研修」の組織や運営についての実態と問題点を明らかにするための基礎資料を得るものである。

なお校内研修は,学校の種別・規模・教員組織・課題等によって,さまざまなかたちをとることになるので,一般的な形でとらえることは,必ずしも妥当でない。それで今回の調査研究をもとに訪問調査によるつっこんだ検討を,今後の課題としていることを付言しておきたい。

(2) 調査内容

ア 調査範囲

(ア)この調査は,学校が独自に計画して実施している校内研修を対象とした。したがって教師が自主的におこなった研修や教育関係機関ならびに自主的研究団体等の主催する研修についてはこれを対象外とした。

(イ)「現職研修」ということばはもともと厳密な意味をもったものであろうが,各学校においては「現職教育」「現職研修」「現職研究」「校内研修」等さまざまな使いかたをしており,厳密なおさえ


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。