研究紀要第18号 教授組織に関する考察 - 026/027page
V.反省と今後の課題
「協力組織体制とその活動のあり方」を究明するため,実験学校と一体となって実践的考察をすすめてきた。この種の実践は,県内にもまだその数が少なく情報に乏しいうえ,学校経営の組織体制上に必要な条件も不十分なだけに多少の困難があった。しかし実験学校職員の努力によって多くの成果をあげえたしまた今後の課題も明らかになった。
実験学校の教員に対する調査結果ならびに実証授業記録などから,主な成果と今後の課題をあげると,次のとおりである。(1) 成果
@ 学年団経営
ア 学年団経営面では,教師各人の能力に応じて役割を果たすことで,学年全体の,ひいては学校全体の協力体制ができ,学年団経営の強化が,職場での人間関係の緊密さをもたらす結果となった。
イ 学校組織上から関連ある校務分掌をまとめ,同一学年団内のメンバーで分担する仕組みや他学年への出授業,他学年からの入授業を同一時間に行なう編成は,校務処理の効率化や教材研究の時間確保の点で有効であった。
ウ 養護教員,担任外教員の各学年団への配置や合併授業の場合の1名増の措置は,学年団業務ならびに学習・生活面の指導に有効であった。A 経営的準備
ア 特性を考慮した指導内容の分担によって教材研究をすすめ,また共同で授業計画の検討にあたった。
そのため,指導内容に精通することができたと同時に専門職としての資質の向上という点からも有効であった。
イ 基調案・単元指導計画・教授過程などの計画作成をとおし,系統性のはあく,内容の精選,基本的事項,内容配列,形態などが明らかになり,自校の実態にあった態勢づくりができた。
ウ 大・中・小の児童集団を基本にしてすすめたが,3〜4名の教師による合併授業では,特に小集団編成が多様化され効率的指導ができた。
エ 合併による大集団または学級枠をはずした中集団の編成は,児童相互の交流が拡がり,学習面の効果はもちろん生活指導面にも効果をもたらした。B 指 導
ア 授業における準備や児童評価,あるいは個別化の強化が可能になり,さらに適正な学習集団とも関連して指導効果を高めることができた。特に技能科(体育科・音楽科)における個々の児童のレベルアップを伴った。
イ 主となる教師と副となる教師を固定しないで,内容に即した分担方法でおこなった。授業前におけるミーテングによりそれぞれの分担内容や指導のポイントが明確であったため,多様な展開や活動にも対応できる指導が可能となった。また各教師はそれぞれ特性発揮の場があり,指導に満足感をもつと同時に,他のすぐれた指導法を学びとる結果となった。
ウ 学習集団は,他学級との合併とか,その中での等質,異質の編成などによった。そのため児童の学習意欲や,相互協力学習の態度に向上がみられ,学習に自信とはげみをもたせることができた。
エ 合併授業・復数授業に対する児童の期待感が高まり,学習にたいする関心とよろこびをますことができた。