研究紀要第19号 児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育 - 005/032page
現在の子どもは,学習に追われ,お手伝いが少ないという声を聞くが,上学年にいくほど進んで手伝う,ときどき手伝う者の合計が下学年より低率であることから明らかである。単なるお手伝いより家族構成にあわせた分担性の手伝いが,望ましいと思われる。したがってお手伝いは,男女の特性を生かし,維続的,計画的に実施されるべきものであろう。
なお,調査からは,女子の年齢の発達にともないお手伝いをする率の変動が,中位,下位群において,上位群よりやや大であることが,判明した。
手伝わない者は,家の者がやる,時間的に隙がない,やる気がないなどの,理由がえられたことを付記しておく。
4.家の仕事を手伝った場合の家族の反応はどうだろうか。
図3.
60%前後の家庭が,仕事をすることを喜んでいるし,手伝いに目をつけ関心をもっている。手伝いを通して具体的な指示やほめことばが,つぎの仕事をしようとする意欲につながり,また手伝いより親子の意見をだしあって話せたら,子どもにとってこれ以上の励みと喜びはないであろう。また,家庭の中で,お手伝いをさせることの重要性を親が十分に理解し,意図的にそれらの機会を多く与えていくことは,子どもの技能のレベルアップに不可欠のものであろう。
5.お手伝いは,あとの生活に役立つことが多いだろうか。
学年が進むにつれて手伝いをする者が減少している。手伝うことに意義を感じあとの生活に役立っと考える者は,80%を越すが実行となると逆現象を呈している。これは親の態度如何により,子どもが十分に変革されるものと思われる。