研究紀要第19号 児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育 - 016/032page

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このごろの子どもたちは,あいさつができないといわれるが,いったいそれは本当なのだろうか。

表21より全体の3分の1が,あいさつのしつけが確立されていると認められるが,女子の男子に対する比は,2倍である。図27,28の個人表をみても低学年ほどできると応答しているのに対して,高学年にきてじょうずだと判断できないのは,よりきびしい礼儀を要求したり,来客の場合,直接でてあいさつをするのが少ないとか,またうわべをつくろったあいさつでは,心の通じあいがなく「よくできる」という範ちゅうから除外されたためだろう。したがってこれが意識と実行のズレをつくりだしているものと思われる。

12.お客さまがいらっしゃったらお茶をいれることができるだろうか。
表22.
 (単位%)

小5

小6
小学校計
中2
中学校計
都市
農村
都市
農村
都市
農村
都市
農村
都市
農村
都市
農村
1.じょうずにできる
27.3
24.3
47.4
36.9
15.6
25.0
37.3
23.7
22.7
35.5
32.5
14.5
50.0
37.5
23.5
43.6
2.ときどきできる
23.6
17.1
29.8
27.7
16.9
13.2
18.7
34.2
17.3
27.5
16.9
7.9
18.4
20.0
12.4
19.2
3.ふつうである
25.5
40.0
17.5
23.1
48.1
23.7
37.3
40.8
34.9
30.8
19.9
39.5
30.3
36.3
34.6
33.3
4.よくできない
12.7
12.9
3.5
10.8
10.4
19.7
4.0
1.3
14.0
4.8
13.0
25.0
1.3
6.2
19.0
3.9
5.ぜんぜんできない
10.9
5.7
1.7
1.5
9.0
18.4
2.7
0
11.1
1.4
7.7
13.1
0
0
10.5
0

男子より女子のほうが,お茶をいれる回数が多く「よくできる」と答えている。さらに来客の頻度は,農村より都市に上回り,母親が手軽に娘にお茶だしをさせるため,女子のお茶だしの回数が多くなっているのがわかる。なお,男子の声としては「できるだけやらない」が圧倒的に多く,今後の家庭教育を考える指標が得られた。

図.29 男子 お茶をいれるのはいつできたか
図.29 男子 お茶をいれるのはいつできたか

図.30 女子
図.30 女子
図29,図30の曲線から,低学年群が,高学年群よりも,お茶をいれる機会が多い。これは,年々来客数が,増加しているため,低年齢時にお茶をいれることが訓練されるからと思われる。しかし,子どもの教育に即したお茶のいれかた,だしかたの学習訓練,しつけが加味されず,単に親の手伝いとしてのお茶だしには,疑問を感ぜざるを得ない。


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