研究紀要第19号 児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育 - 019/032page
子どもに金銭の使い方を教え学ばせるためには,自分のこづかいを計画的に使わせるのがいちばん効果的であろう。「ものをたいせつにしなさい。」とただ単に口でいうよりも,実践的に身をもって学ばせることが重要である。
都市部の子は,節約しためようとする意欲が強く,その機会も多いと思われる。
節約ムードは,程度の差があるが,低年齢ほどうまくためようとする態度がでている。子どもへの小使いの与えかたときめかたは,お手伝いによる賃金形式か,月か週ぎめの与えかたがよいのか,また,その他子どもの夢が育つような与え方がよいのかどうか,もう一度検討してみる必要がある。
16.せんたくは,どの程度できるだろうか。
表26. (単位%)
小5
小6 小学校計 中2 中学校計 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 都市 農村 都市 農村 都市 農村 都市 農村 都市 農村 都市 農村1.じょうずにできる 36.4 11.4 50.9 46.2 19.5 17.1 46.7 38.2 20.1 45.1 26.0 34.6 69.8 62.5 28.8 66.02.ときどきできる 21.8 35.7 35.1 26.2 24.7 30.3 25.3 42.1 28.4 32.2 18.2 17.1 14.5 11.3 17.1 12.83.ふつうである 14.5 27.1 12.3 21.5 45.4 36.8 26.7 19.7 32.4 20.5 24.7 47.4 11.8 26.2 35.9 19.34.よくできない 16.4 18.6 1.7 4.6 5.2 6.6 1.3 0 11.2 1.8 20.8 3.9 1.3 0 13.5 0.65.ぜんぜんできない 10.9 7.2 0 1.5 5.2 9.2 0 0 7.9 0.4 10.3 0 2.6 0 5.2 1.3せんたくは何年ごろできたか
図.37 男子
図.38 女子
洗たくは,大部分の家庭が,洗たく機を使用しているので,ここでは,くつ下,ハンカチの洗たくができるかどうか聞いてみた。男子より女子は,約2倍強できるという。男子のできない者は,女子の約9倍ぐらいである。それで男子は,親まかせの生活状態である。洗たくが何年でできるようになったかは,図37,図38表であるが,男子は4〜5年,女子は2年,4年,5年と低年齢ほど早期に実行できるのは,時代の波が,子どもの経験回数と,家庭の状況の変化を女子の場合,顕著に受けやすいように感じられた。
17.まとめ
「家庭生活の基礎技能の発達状態はどうか」調査してみたところ技能面では,発達した面と遅れている面がでたように考えられる。
発達の基準は,昭和22年の指導要領の想定された発達,鈴木ビネー,津守真の知能検査,SM祉会生活能力検査の成就基準であるが,1回だけの調査で云々することは早計にも思うが,小刀けずり,マッチのすり方,ねじりしぼり,ひもむすび,ほ