研究紀要第19号 児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育 - 024/032page
調査W 要因間の関係分析
1.手伝いと成績の関係
家の手伝いは,どんな状態であるかは,前章の〔調査1〕の4を利用したものであるが,傾向を明確にさせるために仕事を手伝う者と手伝わない者の両極の者と,成績のよい者,悪い者との関係を調査する。考察を進める方法としてこの設問は,きわめて概括的であるが,手伝う者のほうが,手伝わない者より成績がよいとみてよかろう。表27の●印をみていくと,学年が進むにつれて成績が,漸次よい方向へむくのがでている。仕事をやろうとする者が成績のよさと一致するのは,気力が成績を動かす原動力につながるとみてよいと思われる。
1.成績が大変よい > A類型群 2.成績が少しよい 3.ふつう 4.成績が少し悪い
> B類型群とする。 5.成績が非常に悪い 表27. (単位%)
手伝う者
手伝わない者 ●小5 ●小6 ●中2 小5 小6 中2 男 A群 ●9.1 ●11.4 ●12.6 1.4 2.8 2.7 B群 2.8 2.7 2.0 1.3 0.9 0.6 女 A群 ●12.1 ●15.4 ●15.6 0.7 0.4 0.2 B群 1.0 1.5 2.2 0.3 0.1 0.22.手伝いと家のしつけの関係
表28. (単位%)
手伝う者
手伝わない者 小5 小6 中2 小5 小6 中2 男 A群 ●10.9 ●12.8 ●13.4 2.2 2.5 2.5 B群 0.8 1.2 1.1 0.4 1.8 0.7 女 A群 ●12.6 ●15.7 ●16.6 0.8 0.5 0.4 B群 0.6 1.3 1.1 0.1 0 0しつけのA型類群とB類型群も5段階法の(1十2)と(4十5)の群にわけたことは前問と同じである。以下説明を省くことにする。
ここでもしつけのしっかりした家庭の方が,放任されている家よりは,手伝う者の方が多い。つまり形を整える面のしつけより,内面化の行われる生活のほうが手伝いがよくやれる状態にある。手伝いをとおして,社会的適応をめざすしつけと,奉仕的態度や勤労精神を重視する生活を学校・家庭ともに伸ばして人格形成の一助にしたいと考えられる。
3.手伝いと約束ごと(きまり)の関係
A類型群は,家庭で手伝うという約束ごとのある者で,B類型群は,約束ごとのない者にわけてみた。手伝いは約束ごとがなくとも仕事をすることは,あまり変化がないと推定された。前項で述べたように仕事の内容が質的に時間をかけないし,機械化が労働を短縮することとなり,子どもへ分担されないことや学習に追われて仕事まで手がのびないので,約束ごとがないという。このような状態が,二者間,関係ない結果として表われたと思う。
表29. (単位%)
手伝う者
手伝わない者 小5 小6 中2 小5 小6 中2 男 A群 2.3 3.8 2.7 0.69 0.4 0.8 B群 ●9.5 ●10.2 ●12.0 2.1 3.4 2.4 女 A群 5.2 5.8 4.1 0.1 0.2 0.1 B群 ●7.9 ●11.2 ●13.7 0.9 0.4 0.44.できぐあいと家庭科(小)技術・家庭科(中)成績の関係