研究紀要第20号 高校生の精神衛生・特に自殺および自殺未遂行為に関する考察 - 005/021page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

2 集計および分析

 (1) 性格テストの実施状況について

表1は,福島県下,109校における各種性格テストの実施状況をまとめたものである。
これによれば,全日制高等学校の39.3パーセント,定時制(分校を含む)の93.5パーセントが,知能テスト以外にはなんらの性格テストも実施していないことが判明した。

特に,定時制・分校においては,実施校が31校中,わずかに2校のみであり,まことに遺憾といわざるをえない。このことは,これらの学校の性格や,運営上の問題からみて,止むをえない点があることを考慮に入れたとしても,いささか考えさせられるものがある。

さらに,自殺生徒の発生頻度(後述)は全日制高校に比して,定時制に非常に高いことを併せて考えるならば,定時制・分校においても,あらゆる努力を結集して,イ 各種性格テストの実施と活用 ロ 生徒個人個人との密度の高いカウンセリング ハ 集団治療的ワイド相談面接などの実施が急務となろう。

地区別に分析を加えれば,相双・会津・県南の4地区が,テストの実施と利用の度合が高く,県北およびいわき地方においては,半数を超える高校が性格テストを寒施していないことが目立つ。

しかし,県北・いわきの両地区に,なぜ未実施校が多いのかについての分析は,この調査からは得ることができなかったため,次回の調査,および各地区の先生がたとの面接によってその詳細を確かめていきたい。

なお,本調査は各学校長宛に送付されたため,調査記載者が,教頭・教務主任・生徒指導部長・相談係・進路指導部長などと,極めて多種の先生がたによる回答となった。したがって,教務係と生活指導部,進路指導部と生徒指導部などの各係間の連絡が緊密にとれなかった学校もあり,各学年単位や各学級単位で実施された性格テストが,この調査から漏れてしまっていたりしていることが,調査後に判明したので,下表に表示されている数字は,福島県における性格テストの実施傾向としてとらえ,考察と分析を加えられれば幸いである。

   1 各種性格テスト実施校調査集計表

 
無実施校
1種類実施校
2種類実施校
3種類実施校
4種類実施校


県北
8(61.5%) 5(38.5%) 0 0 0
13
県南
7(33.3%) 5(23.9%) 7(33.3%) 0 2(9.5%)
21
会津
6(31.5%) 8(42.1%) 3(15.8%) 1(5.3%) 1(5.3%)
19
いわき
7(50.0%) 4(28.6%) 2(14.3%) 1(7.1%) 0
14
相双
3(25.0%) 4(41.7%) 3(25.0%) 1(8.3%) 0
11
小計
31(39.8%) 26(33.4%) 15(19.2%) 3(3.8%) 3(3.8%)
(78)





県北
7(100%) 0 0 0 0
7
県南
9(90%) 1(10%) 0 0 0
10
会津
7(100%) 0 0 0 0
7
いわき
4(100%) 0 0 0 0
4
相双
2(66.7%) 1(33.3%) 0 0 0
3
小計
29(93.5%) 2(6.5%) 0 0 0
(31)
合計
60(55.0%) 28(25.6%) 15(13.8%) 3(2.7%) 3(2.8%)
109

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。