研究紀要第20号 高校生の精神衛生・特に自殺および自殺未遂行為に関する考察 - 007/021page

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 (2) 教育相談室の有無およびその活用状況

各高等学校の教育相談室の有無については,表3に示されるとおりである。相談室を1室も持つ高校は,全日制・49校,定時制・分校で8校,2室持つものは,全日制,8校,定時制・分校で3校,3室および4室を有する学校は,ともに全日制の高校で合計5校におよんでいる。しかし,全日制の16校,20.5パーセント,定時制・分校の20校,64.5パーセント,合計36校,33.0パーセントには,まったく相談室が無いことは,非常に残念である。

このような学校では,いつどこで相談活動が実施されているのかは,この調査からは知るよしもないが,生徒個人の秘密の厳守を要する相談を受ける場所がないことは,相談活動を不活発にし,生徒指導の不徹底につながらざるをえないという疑念を,多分に感ぜざるをえない。

さらに,これらの相談室を有してない高等学校を概観してみて気付くことは,定時制・分校に多く,生徒指導上最も問題行動が多発し易いといわれる学校に相談室が設置されていない点は一考を要する。

   3 教育相談童の有無

 
相談室なし
 
1室あり
2室あり
3室あり
4室あり


県北
4   7 2    
13
県南
4   11 4 2  
21
会津
5   12 2    
19
いわき
1   11   1 1
14
相双
2   8   1  
11
小計
16(20.5%)   49(62.8%) 8(10.3%) 4(5.1%) 1(1.3%)
(78)





県北
5   1 1    
7
県南
6   3 1    
10
会津
5   2      
7
いわき
2   1 1    
4
相双
2   1      
3
小計
20(64.5%)   8(25.8%) 3(9.7%)    
(31)
合計
36(33.0%)   57(52.3%) 11(10.1%) 4(3.7%) 1(0.9%)
109

相談室の利用については,次ページの表4に示すとおりであるが,十分に利用されている。

16.4パーセント,まあまあよく利用されている。29.7パーセント,普通であるが39.7パーセントと,約80パーセントの学校で,有効に相談室が利用されていることは喜こばしいことといえる。しかし,よく利用されていない,まったく利用されていないが,併せて20パーセント近くもあることは,せっかく相談室がありながら,校内の相談活動の組織・運営のありかたのまずさからきている点が多いものと解される。この点については,以下の相談係の項を参考にして十分な配慮が望まれる。

なお,相談室があり,立派なテーブルとソファーが設けられていても,主役となる相談役教師が不在ならば,脇役と大道具・小道具のみが備えられた,不思議な舞台になってしまう。とにかく,いつ生徒が相談のために来室しても,十分にその相談にのってやり,悩みを聞いてやることができるように,相談係教師は,相談室に常任することが望ましい。


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