研究紀要第20号 高校生の精神衛生・特に自殺および自殺未遂行為に関する考察 - 009/021page

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含まれていることを付言しておく。

しかし,教育相談は本来特別に係を設けてその係員のみがおこなうべきものではなく,H・R・Tや全教職員が,いつでもどこでもだれでもが気軽に生徒たちの相談に応ずるのがたてまえであるとすれば,すべての学校に相談係が置かれていると考えてもおかしくはない。したがって,表5に掲げられた係員は(1)各H・R・Tがクラスの生徒たちと,心の定期健康診断ともいうべき定期面接をおこなうための計画を作成する人。

(2)学校行事との調整をはかりながらスムーズにそれらの面接が実施されるように考える人(3)H・R・Tの手に負えないような,やや重度の情緒的な問題の処理をする人。(4)各種心理テストの実施や生徒指導上の諸問題についての事例研究会の開催をする人。(5)専門機関の紹介,他の教師への助言指導などを主として仕事にしている人。などと考えれば,上記の3校(H・R・T全員および教職員全員であたる)は,この数から除外すべきであるが,アンケートの記載事項を忠実に集計することを主眼としたので,ご賢察ねがいたい。

また,相談室がありながら相談係が設けられてない学校の相談室の利用状況は,表6に示されたとおりである。これによると,表4の全高等学校相談室利用率よりやや利用度が低くなっていることがわかる。このことから単に教育相談のための部屋を学校内に設け,H・R・Tや全教職員が"みなさんの悩みに応じます。さあいらっしゃい"といってみても,生徒はおいそれと自主来談はしてくれない。したがって,係員の計画的,継続的な推進活動こそが,これからの学校教育相談の発展に絶対必要な条件となることを銘記すべきである。

   6 相談室があるが相談係の無い学校の相談室の利用状況

 
十分に利用
やや良好
普  通
よくない
利用なし
全 日 制
 0 2(13.3%) 6(40.0%) 4(26.7%) 3(20.3%)
15
定時制・分校
 0 1(25.0%) 2(50.0%) 0(     ) 1(25.0%)
4
 0 3(15.8%) 8(42.0%)

4(21.1%)

4(21.1%)
19

   7 相談係の有無と相談室の利用

7 相談係の有無と相談室の利用

なお,校内に相談室は設置されてはいないが,相談係は校務分掌の中に組織的に位置ずけられている学校については,表8に表示したとおりである。全日制・定時制・分校といずれも非常に数が少なく,相談室を有していない学校33校中,わずか6校18パーセントにすぎない。

しかし,これらの相談室を有していない学校においても,相談室が無いという点をカバーし,十二分に相談活動をおこなうために,宿直室,クラブ室,図書室,会議室,教員室の片隅などの,手ごろの部屋・手ごろの空間が,十分に,あるいは多少なりとも利用されているのではなかろうか。

以上のことから考察して,相談係の設置は相談室の設置より優先して考慮されるべき問題であると結論づけられる。なお,相談室が設置されてはいないが,相談係が設けられている学校の状況は,表8のとおりである。


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