研究紀要第20号 高校生の精神衛生・特に自殺および自殺未遂行為に関する考察 - 011/021page
みると,4年間の自殺高校生17名中5名30パーセントにも達しており,その発生頻度は,全日制高校のそれに比し,極めて高いことがわかる。このことから考えてみても,定時制・分校における教育相談のより一層の充実が焦眉の急と思われるが,さきに述べたように,定時制・分校においての教育相談係の配置,教育相談室の設置,教育相談室の利用状況,各種性格テストの実施と活用については,いずれも全日制高校に比較して,大幅な遅れが見られ,誠に残念である。 (なお,自殺未遂は普通自殺例の7〜8倍とみられていることを付言しておく)
10 福島県の目殺者数
11 高校生の自殺者数
(5) 自殺(未遂)生徒の自殺(未遂)方法と自殺(未遂)の要因と直接動機
表12は,自殺(未遂)を行なった17名の高校生の,自殺(未遂)の方法である。縊首,服毒,感電による自殺(未遂)が,いずれも3例ずつあり,自殺手段は過去の統計上にあらわれたものと大きな変動はないものと思われる。しかし,感電死については,イ,タイム・スウィッチが利用されている ロ,連続的に発生している ハ,同一地区に多発している(昭和48年2月・6月・12月に,いずれも県北地方に発生)などが,現代高校生の新自殺傾向といえるかもしれない。
12 自殺(未遂)の方法
自殺の方法 件 数 縊 首 3 服 毒 3 感 電 3 ガ ス 2 睡 眠 薬 2 鉄 道 1 入 水 1 シ ン ナ ー 1 鎮 静 剤 1 計 17(未遂2名)自殺(未遂)生徒の所属学年については,表13に示されるとおり,第1学年時の自殺が非常に少ないのが特徴といえよう。これは,高校入学時の緊張の持続・高校生活の新鮮さの持続などが,その要因となっているのかもしれない。
男女別についても,男11人対女6人と,男子生徒の自殺が多く,過去の数多くの統計上の傾向とまったく変化はない(通常男子の自殺は女子の自殺の2〜3倍といわれる)自殺(未遂)のおこなわれた月については,6〜9月が1番多く,10〜12月が一番少なくなっている。このことについては,日本の自殺発生