研究紀要第20号 高校生の精神衛生・特に自殺および自殺未遂行為に関する考察 - 017/021page

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ぎ過ぎたりすることは,家庭と学校が敵対関係におち入り,協力と連携にはなはだしい支障が生ずることがある。

なお,青年期の諸問題の一つとして,自殺行為をとりあげ,父兄会などを開催し,専門家を招いて,講演会や話し合いがもたれている学校が3校程あったことは,実に喜ばしいことである。

さらに,保証人との連繋が大変有効な指導方法であると述べている学校が,いわき地区に2校みられた。有名無実になりがちな保証人の活用方法として,今後の生徒指導に十分とり入れていきたいものである。特に,家庭になんらかの欠陥があり,それが原因となって問題行動が起っていると考えられる場合には,その家庭それ自体には,欠陥からの立ち直り,復元力が乏しいゆえに,保証人などの強力な援助と協力が不可欠となる。

 (14) 予防処置および対策指導−他機関の利用

自殺未遂を引き起したあと,引き続いて学校に通学している場合の取り扱いで,特に大切なことは,精神科医,心理学者,ケース・ワーカー,カウンセラーなどへの治療依頼と協力要請であると考えている学校は,15校におよんでいた。うつ病,精神分裂病,その他の精神的疾患が原因となって,自殺未遂行為が誘発されたと考えられる者にとっては,再三の自殺行為が起こる危険率は極めて高くなる。

したがって,このような生徒たちには,早期の治療と長期の観察と保護が必要となるため,専門家の指示に基き根気よく付き合う気持をもち続けていくべきである。

なお,家庭内の問題が原因となって自殺が引き起こされ,未遂に終った生徒のアフター・ケアについては,保護司・民生委員の協力が必要であると述べている学校が3校ほどあったが,家庭内のトラブルには学校があまり深いりせず,その道の専門家たる保護司や民生委員などに処理を依頼しながら,互に協力し合うような方法がとられることが望ましいのではなかろうかと考えられる。さらに,学校外の行動観察を依頼するという面からも,民生委員・保護司の協力は,要望されるべきものであろう。

   24 他機関の利用

\地区
県 北
県 南
会 津
いわき
相 双
医師・専門家への紹介
1
7
5
 
2
15
保護司・民生委員の利用  
1
1
1
 
3

   25 その他の個人指導

\地区
県 北
県 南
会 津
いわき
相 双
劣等感の除去    
1
   
1
ケース・バイ・ケース
1
       
1
日記の活用
1
       
1
環境・性格等の総合指導      
1
 
1
転校をすすめる      
1
 
1
関係教科での指導  
1
     
1
心にゆとりをもたせる
1
       
1
実習を通して気分転換
 
1
     
1
自殺の無意味さを指導
1
1
2
   
4
青年期の諸問題の指導  
1
     
1
悩みは一人でないことを
1
       
1

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