研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 003/062page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

5 研究方法

 この研究は,学習能力の形成過程を授業を通じて明らかにし,子どもの学習能力を開発することがねらいである。したがって,効果的に推進するために次のような基本的な態度をとった。

(1) 基礎研究

 教科における学習能力の発達については,それぞれの教科の立場からの学習能力が究明されなければならない。即ち,教科の特性や論理が吟昧されなければならないが,ここでは,単に教科に特にこだわることなく共通的な立場で学習能力を考えたい。

(2) 実験研究

 基礎研究の一面,実験研究の可能な教科については,学校現場の授業を通しリアルな実態をふまえた研究を推進する。

(3) 教科・学年

 研究組織や担当教師を考慮して,昭和50年度は次のように構成した。なお,学校種別は小学校とした。表(2)

表(2)
教 科
対象学年
内  容
社会科 3学年児童 授  業
音楽科 5学年児童 単元を指定した実態調査
家庭科 5学年児童
6学年児童
実態調査
授  業

(4) 授業・実態調査

 原則として授業は,学校における計画された単元(題材・教材)の授業とし,目常における授業をテーマに基づいて深化する。授業の基本的態度は,前述のとおりであるが,特に次のように配慮した。

@ 日常の授業において,ややもすれば見失ないがちであった事項にスポットを当てる。
A 一定事項を教え込むよりも,子どもサイドに立ってその内面的な思考の開発を促す。
B 授業における子どもの動きの観察や,内面的な思考・知識・理解等を含め調査を具体的に実施して,一般的な授業よりもきめ細く配慮した。
C 必要によっては,授業の分節等をピックアッブしながら子どもの思考,認識などを調査して,子どもの現有する見方や考え方を明らかにする。
D 研究対象の学年(または年齢)は,思考,情緒,社会性等の心的発達の特性を考慮して中学年を中心に考えたが,教科ならびに担当教師をも考慮して高学年にも及んでいる。

(5) 授業目標

 授業は,目標から出発し目標に帰結する。したがって,指導計画の目標は常に固定的なものでなく吟味検討されるべきものであろう。目標と授業との関係を次のように考えた。図(3)

図(3)
図(3)

 伸ばされた子どもの能力が,あらかじめ考えた目標に合致するものであったか,もっと上位の目標を設定した方がよかったか,それとも別の目標を設定すべきだったのかを,授業の評価と共に考えるべきであろう。

 目標追求の姿勢は2つ考えられる。即ち,その目標達成のため周到な事前の調査,学習システム等の工夫改善をはかる点であり,次は,上記のようなプロセスを通し,かつ子どもの実態に即して授業をし,この目標の達成をはかることに困難を感ずれば,目標自体を修正しなければならないことになる。これは,目標達成に困難を感ずるからいたずらに変更するというのでなく,その目標に対する下位目標を設定するとか,あるいは目標達成のためのステップを考えるなどの手段を講ずることが必要であろう。従来,これらの事項が,大まかに処理されていたので


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。