研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 033/062page

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W 研究の実際

1 家庭科の学習能力

 子どもが学習する際に働く能力とは,どんなものであろうか。家庭科の授業では,一応下記の能力があげられよう。

−家庭科における要素能力の構造−

家庭生活から問題を
とらえる力
1 現状をながめる力
2 問題のめあてをみつける力
3 問題を,共通化し焦点づける力
計画し解決する力 4 計画し見通しをたてる力
5 解決策を考える力
6 技能を確実に習得する力
7 手順にそって思考する力
8 必要な用具と材料を整える力
生活へ適応する力 9 新しい問題を発見し仕事をする力
10 実践の計画をたて技能をくふうする力
11 調和がとれ,美しく構成する力

 家庭科の題材で学習する場合,上記のいずれかの能力が習得されるとみてよかろう。その場合,ある題材に対して働いた前提能力が,どの部分で,どのように働いたかを測定できれば漠然としてとらえられていた学習能力が,相当具体性をおびその題材の与え方とか,子どもの思考の筋道とつまずきがいくらかでも明らかになれば,子どもサイドを重視した授業の研究が,一歩前進になるだろう。そこで具体的な題材で,学習能力の発達面にスポットをあてて研究していくことにする。

2 前提能力調査作成の視点

 前提能力調査問題の作成については,家庭科の4領域中,被服10項目,食物2項目,すまい2項目,家庭1項目の計・15項目について試みた。学年は,5・6学年を考え,基本要素の主たるものをあげた。
 さらに5年,6年とも同問題で実施した。時期は,9月上旬とし,ほとんど末習教材と考えたが,一部に進度の関係を考慮し,一部を既習問題とした。

−家庭科の領域と要素項目−

領域
項   目
被服
1布地 2寸法のとり方 3形状 4裁縫用具の使用(指ぬき・針) 5待ち針のうち方 6ぬい方(なみぬい・半返し・本返し) 7洗たく
【10】
食物
1台所の配置 2調理法
【2】
すまい
1清掃 2照明
【2】
家庭
1来客の接待
【1】

【 】は領域の計

3 被服領域に関する調査問題

 調査は,5年A・B小学校,6年C・D小学校の70名,77名について実施した。5年生は家庭科をはじめて履習するので,末習教材が多い。6年生は,学年が進むにつれて,@5年と比べどのように変化するのだろうか。A調査問題の理由を書かせることから思考のプロセスが眺められるかも知れないということを予想し,調査を試みた。
 以下,その問題について概略を述べることにする。

〈調査問題1〉

1 さいほうばこをいれるふくろをつくりたいのです。はかった寸法をもとにどのくらいの布が必要か。1〜5のなかからえらびなさい。
 〔Aたてまわり52cm Bよこまわり38cm〕

調査問題1


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