研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 037/062page
・6年約半数ずつみられるが,5を正しくぬっているとまっすぐな点より正解とした者が5年で全体の約3分の1,6年で4分の1とでている。「なみぬいの針目」との問いに,なみのような針目と誤ってとらえ,2と選定した者もでた。理由としては,まっすぐに縫ってある,表と裏の針目の同じ大きさのもの,縫目の丈夫なものなどの意見が98.2%の大部分で,その他の理由としては,糸こきの点から眺めてちぢんでないのがよいとの見方が強い。
〈調査問題8〉
8 つぎのぬいかたは,どんな名まえをつけたらよいでしょうか。
なまえ
・なぜそうつけましたか。
調査8は,5・6年生が,どういう名まえをつけるか,その結果,働かせたと思われる思考をあげてもらった。
−調査問題8の集計−
経験から
1.耳ぬい
2.なみぬい
形からの関連
1.ジグザグぬい
2.表かえしぬい
3.間ぬい
4.かりぬい
5.点線ぬい
適用
1.しつけぬい「半返しぬい」の実物を図示し,(表と裏の針目)名前をつけさせたところ正答率は下記のようであった。
5年 87.1%
6年 46.8%その他は左の名前がつけられたが,ひとつは,自己の経験で布の耳のようにしっかり縫っているから「耳ぬい」と名づけ,なみぬいの変化した形で,同じく「なみぬい」と名づけている。
次に形からとらえて,ジグザグぬい,表へかえすから表かえしぬい,ただのかえしぬい,針目の間をあけてあるので間ぬい,又はかりぬい,針目は遠くで見ると点線ぬいのように見えるなど,また適用面から,しつけぬいとおさえた子もでる。
同じく半返しぬいを教えるにしても子どもの思考の働きを知り,名づけた理由を,経験,比較,適用思考とわけて類型したが,割合は下記のようである。〈調査問題9〉
9 つぎのぬいかたの名まえは,何とつけたらよいでしょうか。
なまえ
・なぜそうつけましたか。
調査9は,調査8の半返しぬいの対の調査として本返しぬいを選んでみた。調査8の理由づけに比べ,多面的な思考が働かせ易いかどうか測定してみた。
−調査問題9の集計−
経験から
1.なみぬい
形の関連から
1.ジグザグぬい
2.直線ぬい
3.四角ぬい
4.全返しぬい
5.くり返しぬい
6.返しぬい
関連
1.ふつうぬい
適用
1.本ぬいここでも表と裏の針目を図示し,思考の幅を限定させて考えさせた。名前は,示された図形との関連でつけたのが多く,