研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 038/062page

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全体の半数以上の66.7%の者が,比較思考をしていた。
 次いで,経験,関連,適用思考が一部にみられ,調査8より9になるにつれて,下記のように経験思考から比較思考へ移行していくのがわかる。

調査問題9の集計

 ただ,思考のプロセスを知ろうとした点は,結果の記録からの判断で,プロセスはかくされているようで,あまり期待した結果は得られなかった。
 また,比較思考は,2つ以上のものを比較して名づけているものと判断し,関連思考は,1つと関連させて名づけたと推定されたものである。しかし,文章から明確な判断のでない点は,付記しておきたい。

〈調査問題10〉

10 せんたくをする順序にしたがって□の中に数字で書きいれましょう。

1.身じたく 2.あとしまつをする 3.下洗い 4.しぼる 5.用具の準備 6.ほす 7.すすぐ 8.洗たくの重さをはかる 9.よごれを調べる 10.本洗い

□→□→□→□→□→□→□→□→□→□

 洗たくをする順に記号で□に入れさせてみた。答は,2〜3のいれ方が予想されるが,科学的な原理・原則を含めた意味の知的理解力を知るために,また子どもたちの学習の抵抗を見極め,意欲的に学習にとりくませる意図で,上記の調査を加味してみた。

−調査問題10の集計−

%
 
正答
誤答
5年
55.7
44.3
6年
53.2
46.8

正答は,と考えてみたが,とし,としたのも許容し正解とみなした。5年と6年の正答率は,学年が進むにつれて誤答が多くなるのは,経験度合いが少ない,意識が家庭生活の分野までむかない,無関心による洗たく意欲がでない,学習中心主義により家庭の問題は,親まかせの習慣,手伝い軽視の社会風潮,学年による心身発達の違い……等が考えられ,学年段階をふまえた指導と,家事手伝いの分担・共同化がなされていない現状でないかと反省させられた。

4 食物・すまい・家庭領域に関する調査問題

 他領域(食物・すまい・家庭)までは,調査する必要がないとも考えられるが,参考までに食物領域2,すまい領域2,家庭領域1と5問題を予想してみた。家庭領域の調査は,前年度の調査で実施ずみのものもあるので,ここでは1つとした。
 以下,紙面の都合で,1〜2の問題について述べることにする。

食物問題−@台所の配置のしかたで流し,調理台,こんろ台,配ぜん台などがどのように並ぶか。
Aみそ汁のつくり方手順で,だしのいれかた,材料と味噌のいれかた順序など

すまいの問題−@へやのそうじの順序についてどうするのがよいのか。
A 勉強机の並べかたと照明のしかた

家庭の問題−@お客さまがいらっしゃった場合のお茶のつぎかたは,どうするのがよいのか。

−調査問題−

1 台所の配置のしかたで,仕事の順に並べられているのはどれでしょうか。(1)〜(5)のうち,どれですか。

@
流 し
調理台
こんろ台
配ぜん台
A
流 し
配ぜん台
こんろ台
調理台
B
配ぜん台
流 し
こんろ台
調理台
C
流 し
調理台
配ぜん台
こんろ台
D
流 し
調理台
配ぜん台
調理台

こたえ  

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