研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 049/062page

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資料の活用と作業によって,思考の定着はどのようにはかられたか。
      −袋のゆるみと,ぬいしろのだいたいがわかる。−

(ア) 前提学習能力調査の学級の実態

 「ゆるみ」と「ぬいしろ」については,学習能力の下位能力として,下図の条件で調査した。

前提学習能力調査の学級の実態

調査項目
正答率
わきのゆるみ
20.0%
口をしめるためのゆるみ
31.4
ぬいしろ
17.1

○ 「ゆるみ」をどのような思考でとらえているか。
  つぎの5つに大別された。

C1 箱を出す時指がはいるぐらい。
C2 きついと入れにくい。
C3 ゆるすぎると箱が,がたがたする。
C4 横のゆるみがありすぎると,みっともない。
C5 大きい方が出し易い。
  ・「ゆるみ」の正答率は高くないが,考え方としては,だいたい良好であることがわかる。

○ 「ぬいしろ」をどのような思考でとらえているか。

C1 布をむだにしない。
C2 ぬいしろが多いと布がむだ。布が小さくなる。きゅうくつになる。
C3 みじかいとぬいにくい。ほずれ易い。
 ・C1とC2は,「ぬいしろ」を考えて布の大きさを決めるのでなく,決まった布でのぬいしろを考えていることがわかる。

(イ) 学習の手順をどのように計画するか。

 「標本の条件を設定する。」
 6つの袋の標本は,下記の条件で作成し提示する。(ゆるみの寸法は,前46頁の学習指導案指導上の留意点に示したものである。)

標本の番号 わきのゆるみ 口をしめるためのゆるみ
1
×(少)
2
×(多)
3
×(極大)
4
5

×(多)

6
×(極少)

<表の見方>
○……適切なゆるみ
×(少)……ゆるみが少ない。
×(極少)…ゆるみが極めて少ない。
×(多)…多い。
×(極大)…多すぎる。

 「標本の活用は,つぎの思考過程ですすめる。」
1.袋の大きさを外側から感覚的にとらえる。
2.使用の適切さに気づかせるため,実際に箱の出し入れをする。
3.ゆるみを実測し,数的にもとらえることができるようにする。
4.「ぬいしろ」については,すべての標本を1.5cmの適切さで仕上げておき,観察と実測から,理解の定着をはかる。

 「抽出児の動きをとらえる。」
 上位群A児,中位群B児,下位群C児の作業への参加態度と思考の変容を観察記録よりとらえる。

(ウ) 標本の袋を外側からとらえる。

 同じ大きさのさいほう箱を入れ,黒板に吊り下げて観察した。


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