研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 050/062page
袋の標本
「この箱を入れるのに,@からEまでの袋の中で,どの大きさがよいと思いますか。」の発問に対する児童の反応は,つぎのとおりである。
標本番号 1 2 3 4 5 6適切だとした支持率 3.0 0 0 87.9 6.1 %
3.0@DEを選んだ12.1%の児童は,問題があったが,この予想後,実際に箱の出し入れをして,話し合った結果((エ)の項参照),Cに思考変更をした。
(エ) 「グループ毎に,袋をひとつずつ分担して,さいほう箱の出し入れをして,大きさのぐあいが適切かどうかたしかめる。」
つぎのような児童の発表があげられた。
@ 口をしめるところが,みじかすぎる。
A 口をしめるところが長すぎて,箱を出す時,手を下の方まで入れないと,とれない。
B わきがぶかぶかです。
C いいぐあいです。
D Bと同じで,出し入れがゆるすぎます。
E 出し入れはいいけど,ひもをしめる時,口があいて,ひもがそろわないようです。
(オ) 「@からEまでの袋のゆるみはどうなっているか,実際に測ってみよう。」
班毎に,標本をひとつずつ分担し,わきのゆるみと,口をしめるためのゆるみを実測し,カードに記入した。そして標本とつき合わせした。
実測の結果は,下記のとおりである。
@
わきのゆるみ
(約1cm)
口のゆるみ
(約3cm)
A
わきのゆるみ
(約1cm)
口のゆるみ
(約15cm)
B
わきのゆるみ
(約6cm)
口のゆるみ
(約8.5cm)
C
わきのゆるみ
(約1cm)
口のゆるみ
(約8cm)
D
わきのゆるみ
(3cm)
口のゆるみ
(8cm)
E
わきのゆるみ
(約1.5cm)
口のゆるみ
(約0.5cm)この作業から,各自の児童が,袋の適切なゆるみを数的にとらえることができたと考えられる。
〈口をしめるためのゆるみ8cm〉は,箱の幅15cmと対比して考えさせ,幅の半分であることに気づいた。しかし,事後テストから計上された有効度指数は,他のゆるみやぬいしろより若干下まわっていたのである。これは,種々の箱を例にして半分の考えを 徹底しなかった指導の甘さかもしれない。
〈ぬいしろ〉
これは,前に学習した「ほころびの直し方」の(わき)のぬいしろと関連させながら,標本の観察をすることによって1.5cmぐらいととらえることができたので,効果があがった。