研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 052/062page

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(3) 授業後の個人別学習能力の評価

 事前調査では握されたひとりひとりの前提学習能力が授業によってどのように変容されたか,また学級全体として指導の効果はあがったか,事後テストからとらえてみよう。
 更にその学習能力が,どのようには持されていくか,個別に検討を加えるとともに,変容の類型を学級全体からとらえ,指導の問題点を発見する重要な手がかりとする。

(ア) まず,ひとりひとりの学習能力の変容の跡をたどってみよう。ここでは紙面のつごうで「布の大きさを決める」学習能力についてのみ記載することにする。(○は正答,×は誤答を表わす。)

授業後の個人別学習能力の評価

−以下省略−
 下位能力についても,上記のようにまとめた結果,プラスの変容過程をたどっている児童とマイナスの変容をみせている児童が明らかにとらえられた。また変容のしかたに類型がみられたので,その変容類型過程を下へ記してみる。

=学級全体の変容の傾向=

学級全体の変容の傾向

 

ここで問題となるのは,マイナス変容過程を示した児童である。本時終了後,袋の型紙指導,しるしつけの学習などで,留意して指導したが徹底に欠けたことは,指導者としての責任を感じるとともに,その手だてについては,今後の課題として追指導の問題が残った。

(イ) つぎに学級全体としての学習能力発達(ゆるみとぬいしろ)について有効度指数とは持率からみてみるが,紙面の都合で結果だけとする。

学習能力
有効度指数
は持率
わきのゆるみ
口のゆるみ
ぬいしろ
92.3%
78.0
92.7
96.8%
89.3
93.5

(4) 授業の考察

○ 児童の思考課程を予想し,実際の思考の跡を追って授業を進め,研究の素材としたことは,児童理解を明確なものにすることができた。
○ 本時は,知的理解中心の学習であったが,個人思考にもとずく作業化と,集団思考をとおして,深められていったことは,与えられた知識としてでなく,主体的に納得された知識となったと思われる。また,資料の観察も,予想から検証段階で,箱の出し入れを実測をとおし,たしかめたことは,知識の定着めんで効果があった。
○ 思考過程を吟味し,資料を整え,児童の心情の上に立って授業の組織化をはかったつもりでも,授業後プラス変容をみせなかった(5.7%児童,は持テストでマイナスの8.7%)児童に今後の被服教材の中で,更に意識化した指導の必要性を痛感した。

7 第6学年被服領域「カバー類」の学習の実験的授業計画と実践

(1) 「カバー類」の学習の実験的授業過程

この授業の実施にあたって,題材の目標からおろした本時の行動目標と,児童の実態の間に立って,どのような手だてで児童の思考を助け,能力として定着させるかに留意した。そのため,フローチャー


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