研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 059/062page
(3) 授業後の個人別学習能力の評価
学習後,1週間で事後テストを,さらに1か月後には持テストを実施し,学習能力の伸びを評価した。
3つの重点事項のそれぞれについて以下に示す。(ア) まくらカバーに適した布地について
(1)綿サラシ (2)ポリエステル (3)絹 (4)綿ブロード (5)毛 (6)ナイロン(有効度指数74,は持率95%)
有効度指数が70以上であり,は持率もよく,指導効果があがっているという結果である。この結果が出た原因として,@既習の洗たく学習でとりあつかった布地の性質が定着していた。Aグループごとの標本提示がよく,具体的な思考が深められた。
B話し合いが活発であり,共同思考の効果があったなどが考えられる。
(イ) まくらの大きさに合う形
まくらカバーとしては3種とも使われており,どれも誤答とは言えない。しかし,製作にあたっては,使用の目的に合わせて作ることが必要である。ここでは,中身の大きさに合わせて作るためにつつ型をねらいとした。思考するための条件を明示し,ステップを重視してフローチャートを組んだため,無理なく導かれ,理解が深まった。
(ウ) 布の大きさの決め方
児童の変容を類型化してみると,4つのグループに分けられる。
○ Aのタイプは,前提能力はじゅう分でなかったが,学習によって能力が身につき,変容の見られた児童である。
○ Bのタイプは,変容はしたが完全に身についていない児童である。
○ Cは,思考のしかたや理解がふじゅうぶんで,能力として身についていない児童(教師側の反省として,設問のしかたがまずく,わかっていても表現しにくい書き方のもの)である。
○ Dは,下降線をたどった児童である。CとDの原因として考えられることは,@もとになる大きさの理解が不完全である。Aぬい方のこまかい点までの理解がふじゅうぶんで,寸法のあやまりが多いなどである。
これらの解決の手だてとして,@立体をつつむものとして平面があるのであるから,立体から平面への移行を,布や紙で具体的に操作させながら取り扱う。Aどこを,どのぬい方で,ぬいしろはどれだけ,というように具体的な点の指導をすべきであると実践をとおし考えさせられた。