研究紀要第22号 児童・生徒の学習能力の発達 学習能力の発達と授業の研究 - 061/062page

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布の色を選択する際の話し合い

(ウ) 個人思考と集団思考のかかわりあい

 この授業では,ひとりひとり確実に学習を成立させるため,個人思考したことが集団思考の中で生かされ深められて,また個人の能力として定着することをねらった。フローチャートによるフィードバックの過程で,児童は,自分の思考のつまずきがわかり,修正のヒントを得ることができたと思う。しかし,それでもなお完全に理解できないため,定着しない者もあるので,それらの早期発見と,追指導の手だてが必要である。

 右に示すのは,ひとりの児童の考えの変化である。
 フローチャートは,ともすると,ひとりひとりの児童の考えを画一化するおそれがあると言われる。

 しかし,今回のように,個人の持つ学習能力や学習前の理解の程度を,じゅうぶんは握したうえで計画すれば,このような間題は解決される。いつもこのような調査はできないが,日々の実践を積み重ねて児童の反応をより的確に予想しうるように記録を累積しておく必要がある。よりよい援業実践をしていくために,今回の研究は,確実なステップになると思う。

ふくろ型を選択
かっこうがいいから
 
ふくろ型にしようと思ったが,大きさに
合わせるには,つつ型がよい。
 
つつ型の布の決め方について考える。
 

 授業を通して考えたことは,児童の思考の様相をできるだけ正確に予想できることは,授業の見通しを持ち,最適な手だてを考えることができるという点である。この予想のうえにたって,児童の思考過程にそったプログラムを組んでいくことができれば,ひとりひとりの能力を伸ばす授業への方向づけであると考えられるだろう。


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