研究紀要第23号 幼児教育の研究 公立幼稚園における心身障害児の実態調査および人物画テストによる性格診断の考察 - 003/015page

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W あなたの幼稚園に,心身障害児がいたらどのような配慮をしますか。(現にない場合にも,将来の問題として下の余白にご記入ください。

 

 

 

3 集計および分析

(1) 知能テストおよび性格テストの実施状況について

  本調査の回収率は,185園のうち115園で,62.2%であった。上記のテストを実施している幼稚園は2園で,ほとんど皆無に近い実態であった。

(2) 発達遅滞児の実態について

  幼稚園における発達遅滞児の傾向は,表1に示されるとおりである。発達遅滞児に多く指摘される問題行動として,○長続きせずあきやすい。○いつもぽかんとしている。○指示にしたがえず自 分勝手である。○遊びなかまにはいれない。などの行動がある。これらの子どもは,幼稚園だけで指導しても効果があがらないのが普通である。遊びの項目を除いては,家庭の躾の欠陥が表面化してきたのではないかと思われるが,よい性格の子どもを育てる上から,幼稚園まかせの躾であってはならないことを示唆していると解される。幼稚園で集団生活の中心となる要素は遊びである。遊びが性格づくりに大きく関係するとすれば,発達遅滞の子どもは,消極的で引っ込み思案である故,手をとって遊ばせることが肝要であろう。

 さらに,男女性別の間で目立つことは,

○長続きあきやすい。○授業の妨害をするの項であろう。これは,男児が女児より高い比率を示しているが,女児はどちらかというと黙っているため,授業の妨害は少ないなどの理由によるものと思われる。

 生き生きと活動的な姿は,子ども本来の姿であるが,発達遅滞の子どもは,それが不活発であり,手のかかることが多い。それ故に,根気強く指導することが必要である。

   1.発達遅滞児の主な傾向

 
県北
県中
県南
会津
南会
相双
いわき
合計
1.いつもぽかんとしている。

11

10
21
13
13
26
3
5
8
2
1
3
     
2
3
5
3
2
5
34
34
68
2.指示にしたがえず自分勝手である。
18
10
28
13
8
21
2
3
5
1
0
1
     
7
1
8
3
2
5
44
24
68
3.長続きせずあきやすい。
19
8
27
15
12
27
2
2
4
2
1
3
     
8
2
10
5
0
5
51
25
76
4.他の者のまねばかりしている。
4
3
7
1
0
1
0
0
0
1
1
2
     
0
1
1
2
0
2
8
5
13
5.授業の妨害をする。
11
5
16
4
3
7
0
0
0
1
0
1
     
6
0
6
0
0
0
22
8
30
6.登園をいやがる。
3
1
4
0
3
3
1
1
2
0
0
0
     
1
0
1
0
0
0
5
5
10
7.遊びなかまにはいれない。
17
8
25
8
13
21
1
2
3
1
1
2
     
2
4
6
3
2
5
32
30
62
8.友だちに好かれていない。
8
5
13
5
6
11
0
1
1
1
1
2
     
1
1
2
0
2
2
15
16
31
9.その他
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
     
0
0
0
0
0
0
0
1
1

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