研究紀要第23号 幼児教育の研究 公立幼稚園における心身障害児の実態調査および人物画テストによる性格診断の考察 - 004/015page

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(3) 情緒障害児の実態について

 情緒障害児の傾向は,表2に示すとおりである。ここでは,○耳が聞こえているのに言語が非常に未発達である。○知的に遅れていないが集団に入れない。○爆発的に乱暴になる。○家では話すが園では話さない。などが顕著な傾向としてとらえられる。

 昨今,言語の未発達の子が多くなっていることは事実であり,その原因として考えられることは,

 ○親の子に対する話しかけが少なく,テレビをみせている時間が長いこと。 2〜3歳の言葉の発達時期においてこの影響は特に大きい。
 ○親が子に童話などの話を聞かせる時間が少ないこと。 子どもの眠るときが,おとなのみるテレビの時間帯にあたるため,親子の対話が少なくなるのではないだろうか。

 次に集団に入れない子どものことであるが,遊ぶ場所が少なくなっており,子どもの欲求を満足させる泥んこ遊びも十分できない。また,親と子の遊びも少ないように思われる。環境の変化が遊びを知らない子どもを育て,ひとりでいても苦にならない子どもを作ってしまっているようだ。しかし,遊びを知らない孤立的な存在は,性格形成上大きな問題である。遊びをとおして,すばらしい性格がつくられていくとすれば,もっと多くの遊びをさせる指導が大切である。

 男女児間では,男児が女児に比

 なお,チック症については全く指摘されなかったが,チックという言葉の意味が分からなかったのではないかと思われる。これは,自信がなかったり,欲求不満があったりした場合に発生する。

 例えば,目ばたきなどが連続しておこる症状である。

 表1,2とも幼児の短所をあげてあるが,できるだけ幼児のよい点をみつけて,育てる努力が大切なことであろう。

   2.情緒障害児の主な傾向

 
県北
県中
県南
会津
南会
相双
いわき
合計
0計
1.登園をいやがって泣きよく休む。
1
1
2
0
2
2
0
1
1
0
0
0
     
1
0
1
0
0
0
2
4
6
2.偏食が非常にひどい。
2
0
2
0
3
3
0
1
1
0
0
0
     
0
0
0
0
0
0
2
4
6
3.チック症状である。
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
     
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4.てんかん発作のようなものがある。
2
2
4
1
0
1
0
0
0
0
0
0
     
0
0
0
0
0
0
3
2
5
5.耳が聞えているのに言語が非常に未発達である。
5
2
7
1
6
7
1
1
2
0
0
0
     
2
1
3
1
0
1
10
10
20
6.爆発的に乱暴になることがある。
7
0
7
6
0
6
1
1
2
0
0
0
     
1
0
1
1
0
1
16
1
17
7 家では話すが,園ではほとんど話さない。
1
2
3
5
3
8
2
0
2
1
0
1
     
1
1
2
0
0
0
10
6
16
8.どもりがひどい。
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
     
1
0
1
0
0
0
1
2
3
9.知的に遅れていないが,集団に入れない。
6
1
7
4
2
6
1
1
2
1
0
1
     
1
1
2
1
0
1
14
5
19
10.その他
3
1
4
0
1
1
0
1
1
0
0
0
     
0
0
0
0
0
0
3
3
6

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