研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 019/106page
の44.4%,「悔いる」の48.1%より高い。2年のところでものべたように,これは日常性はあっても「かな書き」されることが多い語である。
そういう意味で音訓意識はこのへんでかなり出てくるものと考えてよいであろう。
次に,形の似た漢字も,形の同じ字も,その正答率はほぼ同じであるが,形の同じ字でも音訓の読みわけはかなり正答率は高く,また形の似た字でも同じ発音の字であれば81.9%と比較的よくできている。
なお,【1】の一で50%以下の正答率の字を拾ってみると次の通りである。
1 身を慎む 22.1%2 案内を請う 9.0%6 仕事を怠る 44.2%15 会釈をかわす 47.1%
およそ、礼儀作法に関する語を表わす文字で,ことばとしてはともかく,現代の日常の文章の中にあまり出てこないものが多い。これを漢字の読みわけについてみると
○便宜 14%・宣告 76%○成就 3.2%・編成 87.2%
となり,日常使用されていない漢字の読みが極端に低くあらわれているのは同様である。
イ 【3】読む(語句)
1年69.8%,2年70.4%と学年をおって高くなってきたが3年では,57.5%と1年より低い正答率となった。内容別にみてみると次のようになる。
内容 1年 2年 3年
1 辞書的意味がわかる 2 対語・反対語がわかる 3 同類語,同義語がわかる 4 慣用語句がわかる 5 文脈中の語句の意味 6 同音異義の語句の意味
75.1 80.7 45.0 93.8
59.6 73.5 77.8
63.4 60.5 47.7
とくに低い6について,具体的にみてみると,【3】の三のA,Bで,コウセイの同音異義語及びケンの同音異義語に関する問題である。実際の文の中で漢字を使いわけていく能力については,該当熟字をえらぶような2年の問題ではできるが,バラバラな一字一字を組み合わせていく問題ではよくない結果がでている。このことは,実際の力として定着していないことを示している。
ウ 【2】【4】【5】【6】 読む(文・文章)
1年でもっとも低かったのは,「主題・要旨のは握」であり,2年では「文章の組み立てや筋道がわかる」(1年では下から2番目)であった。
3年では,やはり「文章の組み立てや筋道がわかる」で,とくに「段落,場面のは握」が低く,22.6%となっている。ここには,直観的に交章の構成をとらえる読みが多く,明確な段落,場面の設定手法をつかむことができずにいる国語科教育の弱点がでているとも言える。次に低いのは「情景,心情の読み」で54.4%となっている。これについては,2年で57.1%となっていて,2年とくらべても低い。とくに文体や語の伝えてくる情感をうけとめる点については【2】の三の1,2,4のうちの2の40%,3の33,9%が物語るようにきわめて低い。これに反し「考えやことがらを細かい点に注意して読みとる。」は67.2%と高く,文学的文章の中の鑑賞についての十人十色の読み方が生徒の鑑賞能力として定着していくことのむずかしさをこのことは物語っている。
1年で低かった「主題,要旨のは握」は71.2%ともっとも高くなっていて,2年の69.6%とともに学年をおってのびていることがわかる。
「文の組み立てや語句の用法,意味がわかる」が54.8%と低く,中でも「かなづかい」(43.5)「交脈中の語句の意味」(46.6)が低いのは,古典に関するテスト内容であって1,2年の同項目とは比較できないものと考える。
エ 【8】 書く(文字)
訓よみ漢字がもっとも低く42.8%,次が音よみの熟字44.5%である。訓よみ漢字と音よみ漢字の間にそれほどの開きはない。
しかし,1,2年が30%台であったことからみるとわずかながら高くなってはいる。
クワしい,シタう,ケイゾク,ボウチョウ,などが低く,オクれる,コショウ,などは高い。このあたりに使用頻度の多少の影響を見ることができる。とくに「オクれる」は学校生活では,もっとも多く使用されることばであり,文字である。「形の似た漢字を書きわける」ことも48.9%と高くはない。これは,2年でも同じ傾向をみせており,表意性に目をむけた指導の必要を語って