研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 021/106page

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1 社会科における問題の構成

(1) 問題作成の基本方針

 社会科はその性格上,一般に単元の内容による領域にもとづいて作成されるものが多い。これを能力概念による領域別にみると,「知識・理解」面についての出題にかたよりやすく,「能力」「思考」面の出題に欠ける傾向が多い。
 今回の診断標準学力テスト問題の作成における領域の設定にあたっては,この点をじゅうぶんに配慮し,検討した結果,「能力の重視」という改正学習指導要領のねらいを生かして,能力概念による観点を設定し,これを主軸として作問し,内容的には各分野のすべての項目にわたるよう留意した。テストの方法は客観テストを採用し,さらに信頼性を高めるため再認法を主体とし,弁別評価ができるように考慮した。

(2) 問題の構成

@ 領域と問題構成

 学習指導要領の改正の趣旨をふまえ,指導する学年,分野の性格,指導内容のまとまり,指導時数の多少等について考慮し,地理T・U,歴史T・U・V,公民T・Uの七つの領域に分けた。

1
地理T
(1)「身近な地域」
(2)「日本とその諸地域」
歴史T
(1)「文明のおこり」から
(7)「ヨーロッパ世界の形成」

2
地理U
(3)「世界とその諸地域」
(4)「世界の中の日本」
歴史U
(8)「天下統一の歩み」から
(16)「近代日本の発展」
3

歴史V
(17)「両大戦間の世界と日本」
(18)「新しい日本と世界」
公民T
@家族生活  A社会生活
公民U
B経済生活
C国民生活と政治

問題内容は,この七つの領域に基づき,上表の指導内容をもって構成した。

A 評価の観点と問題構成

学習指導要領の総括目標は,小・中学校の社会科を一貫するものであり,小学校では「公民的資質」ということばが,中学校では「資質」におきかえられているにすぎない。このことからも,中学校では各分野の固有の性格やねらいを尊重しながら教科としてのまとまりを図ろうとすると解される。
そこで,目標への到達度,評価領域については,学習指導要領の項目を観点としてとらえ,指導要録との関連を図りながら活用できるように考えた。

観点
趣     旨
【1】
知識
理解
家庭・社会・国家などの一員として必要な社会事象に関する基本的な知識を身につけている。
【2】資料活用の能力 さまざまな情報や各種の資料の中から確実なものを選択し活用することができる。
【3】
社会的思考・判断
社会事象について関心をもち,的確に考察し,公正に判断することができるとともに,社会の一員としての自覚をもって責任を果たそうとする。

 能力概念については,いろいろの解釈のしかたがあって,決定的な考え方は出せないが,それぞれの観点について,次のように概念規定をすることにした。

【1】 知識・理解
 知識・理解の二つの能力概念は,混同されやすく明確な分け方はむずかしいが,単なる断片的な知識・理解とならないよう,次のように概念規定を図った。「理解は,事物や事象の内部構成と他の事物,事象との諸関係を明らかにし,知識を真の知識とするはたらきとする。」これを具体的に,次の三つの観点でおさえた。@社会事象に対する基礎的なことがらを精選し的確な知識をもとにして理解する。A社会事象の柏互の関連を通して,それぞれの社会事象のもつ内容や意味を理解する。B社会生活に関する基本的事項を総合的に理解するとした。


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