研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 027/106page

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ことが考察できる。グラフそのものが読めても,その地域の学習の際に,一年を通した気温と降水量の変化を確実におさえていないためであろう。

 問2は,@扇状地,Aリアス式海岸についての地形の特色をみる設問であるが,予想どおり正答率は高かった。しかし,扇状地についての理解があっても,それを実際の地形図の資料から選ぶとなると,三角州の地形図を選んだ誤答が目立った。これは,日常の学習で,各種の地形図の資料によって,その理解を確実にする指導の方法に欠けた原因と考察できる。

 問の3は,「わが国の人口の動態」を資料から判断させる設問である。正答率は,(1)(2)の小問ともかなりの高い数値を示している。
設問のしかたが,基本的な事項を選択肢より選ぶ簡単な問題であったことにもよるが,実際の学習で,各地域の人口分布・増減・移動と,それに伴う諸問題について,じゅうぶん学習されているものと思う。

 最後に,「資料活用の能力」を養うためには,今後の指導にあたっては,下記のことに留意したい。
@ 各種統計地図の読図や用法の基礎事項についての理解を確実なものにする・
A 統計地図の活用に留意することによって,読図の技能を効果的に習熟させるよう配慮する。
B 統計地図による数量的分布を表示させる機会をもたせることによって@Aの事がらの強固な定着をはかるとともに,その適用力を養うようにしたい。

【3】 社会的思考・判断
 問1は,「身近な地域のしらべかた」について,総合的な判断をみる問題である。(1)〜(3)の小問とも正答率はかなり高い数値を示している。これは解答の選択肢に,まぎらわしい誤答の項目がなかったためと思う。

 それに反して,問2「わが国のエネルギー源の変化」についての問題は,(1)の解答に著しい陥没点がみられた。その原因を追求してみると,解答の正答率「石炭(37.1%)石油(52.5%)水力(32.3%)」から考察するに,石炭と水力についての理解の混乱が多いようである。エネルギー需要の変化についても,事実・事象のようすを断片的に判断するのではなく,常に関連的・総合的に判断できるような,思考力の育成が必要であろう。また,時代的な変化の考察では,統計資料の活用によって,順位的・数量的におさえる日常の学習訓練が必要である。

 問3は,「人口の動態」を総合的に資料から思考判断をさせる問題である。(1)(2)(3)の小問は,二つの資料から判断する設問であるが,正答率は50%を越えている。ところが(4)は,現在社会問題としてクローズァップされている過疎,過密についての問題であり,生徒の関心も大きいと思われる出題であるのに正答率が低い。この原因は,設問の読み違いか「人口移動地域」ということばに抵抗があったものと思われる。

(4) 歴史的分野の問題点の診断

 正答率が特に低く,指導上問題があると、思われるものだけをとりあげてみる。

【1】 知識・理解
1−(1),(2),(3)
 文字とその名称を結びつけることができるが,どのように記録されているかとか,地図上の位置を示すことができない。とくにエジプト文明とメソポタミア文明との混同がみられた。
〈指導上の留意点〉
○ それぞれの文明について,その特色や著名な文化遺産を対比しながら理解させる。
○ 地図上でそれぞれの文明・文化の栄えた地域を確めさせる。

2−(2)
ヨーロッパの形成の基盤となるのは,ギリシア文化・ローマ文化,キリスト教文化であり,さらにはヨーロッパ世界とイスラム世界の交渉へとヨーロッパ世界が変容して行く過程が理解されていない。
〈指導上の留意点〉
○ 文化をコマ切れに扱うことをさけ,大きな流れとしてとらえ,構造的・図式的なとらえ方をさせることも一方法であろう。

3−(2)
聖徳太子の業績は羅列的に扱われるが,特に,遣隋使の派遣のように,これまでの対外関係とは異なった形で直接中国と外交関係をもち,中国文化を摂取した態度に注意する必要がある。その態度を具体的に出題の故事で触れたい。
〈指導上の留意点〉
○ 種々の教材,どくに歴史的分野においては,史料


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