研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 042/106page
と誤答しているのが半数を占めているが,1920年代の情勢と1930年代以降の軍部の台頭という動きが一貫しては握されていないためと考えられる。
1937年の日中戦争(日華事変)前後の事件をとらえる問題が36%と低いことも,日本経済のゆきづまりと大陸進出の情勢が一連の動きとして理解されていないことを示している。中国と日本との関係,国内における戦時体制の強化,日独伊三国の動向など第二次世界大戦への動きを着実には握するようにしたい。
イ 2の(1)(2)
「二十一か条の要求」を出したねらいについては38%と正答率が低く,ウ,エなどの誤答傾向がみられる。ウは第一次世界大戦の年代が理解されていないため,エは日露戦争後の様子と誤っているためと考えられる。(2)は26.3%と正答率が最も低く,誤答がア(中華民国の成立)に集まっている。第一次世界大戦の学習がヨーロッパの動きを中心にしており,日本や中国の様子が断片的にとらえられている欠陥があらわれているようである。
ウ 3の(2)
護憲運動と大正デモクラシーに関する問題であるが34%と正答率は低い。
政党政治の発展を明治の末から(2年で学習したこと)大正時代にかけて総合的には握する工夫が必要である。学年で歴史的分野の学習が中断されることはあっても,一連の流れを明確におさえることが大切であろう。
(4) 公民的分野の問題点の診断
公民T
【1】 知識・理解
各問とも正答率が高く,問題としてあげるべき点は少ない。
2 資料活用の能力
問2 福島県の一般会計予算(正答率45.0%)
地方自治のたてまえから,地方財政は独立と自立であるべきだが,財政規模の拡大につれ,現在では国家財政からの援助が大きな役割を占めている実情を十分は握されていない。国家財政と地方財政では歳入のうち,租税収入の占める割合が違うことを確かめさせること,またその理由も考えさせるようにする必要がある。
【3】 社会思考・判断
この観点の平均正答率が約70%に達していることから,家庭生活・社会生活に対して,日常生活の中で得るものが多いのではないかと考えられる。
公民U
【1】 知識・理解
問3 わが国の貿易相手国は戦後大きく変ったことを学ばせ,東西貿易の重要性に気づかせる必要がある。正答率から見れば,輸出については49%であるが,輸入では27%と低くなり,しかも,輸入のおもな相手国としてイランをあげたものが多い。戦前の軽工業主力型から,戦後の重工業製品主力型へとの変化と,相手国も統計グラフをもとに,その転換を明確にし,輸入=石油という見方でなく,総合的にとらえさせることが必要である。問4 流通機構の近代化,合理化の要請の中で,代表的な2商品はしっかりおさえておきたい。
Aの部分に卸売業者,Cを専売公社とした誤答が多い。
実際に流通市場の見学をとり入れたり,視聴覚教材など具体的に商品の動きを考えさせることがたいせつである。問6 日本の労働者の生活は,労働者保護立法によって改善されたが,欧米諸国に比べてまだ低い状態であることに気づかない。誤答の多くは48時間労働の勧告,または○(42時間労働)とし,正解の40時間より多くの時間と答えていることからもわかる。
労働者の労働条件は,国際的視野でその改善に努力すべきであることに気づかせたい。